
 テルアビブ大学は7月27日、植物に含まれる物質「リグニン」の分解プロセスを活用し、植物廃棄物や紙の廃棄物から手指消毒用のエタノールを生産することを可能にしたと発表した。同スキームでは、生産コスト、食用植物の使用量、二酸化炭素排出量の削減が可能となる。
 同スキームは、テルアビブ大学ハダス・ママネ機械工学博士、ハイファ大学ヨラム・ゲルシマン教育学博士、テルアビブ大学博士課程のロイ・ぺレス氏、ヤン・ローゼン氏、バラク・ハルパーン氏らの共同研究により開発。植物や紙の廃棄物をエタノールに変換する実験が成功した後、エタノール製造プロセスについて、米特許商標庁への登録を行った。
 これまでイスラエルは、国内でエタノール生産を行っておらず、年間数万tを完全に輸入に依存。新型コロナウイルス・パンデミックにより、アルコゲルやセプトール等のエタノール由来の手指消毒液需要が世界的に増加するなか、輸入制限の結果としてイスラエル内で手指消毒液の不足が懸念されていた。
 研究者らは、イスラエル内の様々な種類の廃棄物を活用したエタノール生産の試験運用を開始。生産効率の改善に取り組んでいる。同国では年間62万tの植物関連廃棄物や、3.5万tの紙類の廃棄物が発生。廃棄物を原料とし、エタノール生産を行うことで、廃棄物管理費用や廃棄物焼却に伴う大気汚染の削減ができるとした。
 また、エタノールは、主にトウモロコシ、サトウキビ、その他の炭水化物が豊富な作物から生産され、バイオ燃料として活用されることが多いが、トウモロコシ栽培には、広大な土地だけでなく、害虫駆除や大量の水消費が必要となり、環境負荷が大きい。今回のスキームでは、廃棄物からの生産となるため、環境負荷も削減できる。
【参照ページ】Tel Aviv University researchers produce low-cost hand sanitizer from waste
    
    
	 
	
    
    
    
        
            
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