英国国教会の資産管理3団体で構成するNational Investing Bodies(NIBs)は12月15日、2050年までに運用ポートフォリオのカーボンフットプリントをゼロにするとの目標に鑑み、9社のダイベストメント、2社の強化エンゲージメント継続を決定した。NIBsの運用資産総額は130億ポンド(約1.8兆円)。
英国国教会は2018年、気候変動対応がパリ協定と整合性のないエネルギー・資源採掘大手を2020年から2023年にダイベストメントすることを決定。機関投資家による投資先企業気候変動対応分析イニシアチブTPIの創設メンバーにもあり、Climate Action 100+にも加盟。2020年1月には、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」にも加盟している。
【参考】【イギリス】英国国教会、気候変動対応不十分のエネルギー・資源採掘大手を2023年にダイベストメント(2018年7月14日)
NIBsは、英国国教会コミッショナー、英国国教会年金理事会、英国国教会中央金融理事会の基金「CBF Church of England Funds」の3つで構成。これまで排出量の多い世界中の企業にパリ協定と整合性のある削減目標を策定するよう強化エンゲージメントを実施し、今回、そのうち、米デューク・エナジー、米Vistra Energy、香港の電能実業(Power Assets Holdings)、ロシアのロスネフチ等の12社が実際に要求に適う削減目標を策定した。
一方、9社については、要求に応じなかったとし、今回投資引揚げ(ダイベストメント)を決定した。2020年10月21日時点の9社保有残高は322.3万ポンド(約4.5億円)。対象企業は、
- アメリカン・エレクトリック・パワー(米国)
- バークシャー・ハサウェイ(米国)
- ファーストエナジー(米国)
- PPL(米国)
- 安徽海螺水泥(中国)
- 上海汽車集団(SAIC)(中国)
- 台湾プラスチック(台湾)
- 韓国電力公社(韓国)
- インド石油ガス公社(ONGC)(インド)
また、2社については、一定の改善は見られたが、まだ強化エンゲージメント対象から外せない企業として設定した。対象企業は、
- PGE(ポーランド)
- リライアンス・インダストリーズ(インド)
英国国教会は、今回改善が見られた企業に対しても、注視を続け、さらに2021年から2023年にかけ毎年、要求の基準値を引き上げていく。
【参照ページ】Church of England restricts investment in companies that don’t meet its climate standards
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