半導体製造世界大手台湾のTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)は2月25日、新たな廃水リサイクル戦略と進捗状況を公表した。廃水でのサーキュラーエコノミーと資源回収で大きな成果を上げている。
半導体素子や集積回路(IC)を半導体パッケージで保護するパッケージングでは、大量の水を消費する。同社は、バックグラインド工程からの廃水に、水とシリコン粒子が混合していることに着目。廃水リサイクルを行うことに経済価値があると判断した。
バックグラインド工程とは、集積回路の積み重ねや高密度にパッケージができるよう、ウェハーを薄くする製造工程のこと。従来の水処理では、化学薬品を消費するだけでなく、廃水中の不純物を増加させ、再利用可能性を低減させていたという。
同社は2019年、バックグラインド廃水リサイクル・プロジェクトを発足。サプライヤーと協働し、シリコン粒子に適した濾布を開発した。2020年7月には、バックグラインド工程での廃水処理で、有害化学物質を使用しない物理法での資源回収を開始した。
(出所)TSMC
2021年1月のバックグラインド廃水の回収実績は1.5t。工業用シリコン素材30tを回収し、1.2tを二次利用水として使用することに成功している。これにより、資源消費量55tの削減につながった。
さらに同社は2020年12月、サプライチェーンの川下企業とも協働。サーキュラーエコノミー実現のため、2022年には、トランジスタ形成以降の配線工程でもリサイクルを行う予定。
(出所)TSMC
【参照ページ】TSMC Pioneers Physical Regeneration Technique for Backgrinding Wastewater
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