国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは4月28日、CDPの2020年度回答について、金融機関の回答内容を分析したレポートを初めて発行した。分析の結果、金融機関は自社事業での排出量より、投融資カーボンフットプリントの量が700倍も大きく、金融機関にとって投融資カーボンフットプリントの削減が不可欠であるということを強く伝えた。
今回のレポートでは、パリ協定で求める1.5℃目標と整合性のある投融資ポートフォリオの実現に向けている動いている金融機関は、銀行で45%、アセットオーナーで48%、運用会社で46%と、いずれも半数を割った。また保険会社で、1.5℃目標と整合性のある保険引受を進めているところも27%と非常に低かった。また、金融機関でCDP気候変動の回答率は45%にとどまっている。回答企業332社の運用資産の総額は、109兆米ドル(約1.2京円)。
その中で、同レポートが、優良金融機関として讃えたのは、BNPパリバ、ABNアムロ、アリアンツ、リーガル&ゼネラルの4社。いずれも欧州の金融機関だった。
今回の分析では、気候変動だけでなく、ウォーターとフォレストについても分析。その結果、気候変動よりも水リスクと森林リスクについては、ポートフォリオでの評価がさらに進んでいないことが明白となった。
反面、サステナブルファイナンスが事業機会となると回答した金融機関は76%に達した。サステナビリティ・リンクローン、グリーンボンド、ESG投資ファンド、関連保険での金融市場へのインパクトは2.9兆米ドル(約310兆円)にもなる。
リスク評価では、気候変動リスクを、オペレーションリスクとしているところが41%、信用リスクが35%、市場リスクが26%。しかし金額では、信用リスクと市場リスクが著しく大きく、双方合計で1.05兆米ドル(約110兆円)にも上った。今後、リスク分析をする金融機関が増えると、さらにこの金額は増加する見込み。一方オペレーションリスクは340億米ドル(約3.5兆円)だった。
【参照ページ】Finance sector’s funded emissions over 700 times greater than its own
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