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【日本】政府、成長戦略実行計画案を採択。グリーン、デジタル、経済安全保障、スタートアップ支援等

 日本政府は6月2日、第11回成長戦略会議を開催。菅義偉首相も出席し「成長戦略実行計画案」を取りまとめた。12月に取りまとめた「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を基に、経済財政諮問会議及び成長戦略会議並びに与党における検討を踏まえたもの。近日中に閣議決定を行う。

 成長戦略会議は、日本政府の経済財政諮問会議の下に設置されている機関で、加藤雅信・官房長官が議長を務める。成長戦略の基本的な考え方としては、「生産性を向上させ、その成果を賃金によって分配し、労働分配率も向上させ、消費の拡大を通じて、力強い成長を実現する」をコンセプトとしている。

 今回の計画案について、菅首相は、「グリーン成長戦略」「フリーランスが安心して働ける環境をつくるための法整備」「経済安全保障の観点からのデジタル政策」「スタートアップ支援」「中小企業の事業再構築・事業再生の支援」の5つをポイントとして挙げた。

 グリーン成長戦略に関しては、12月のグリーン成長戦略の内容を再確認するとともに、カーボンプライシングの導入、グリーンボンド等の取引の環境整備、東証プライム市場上場企業等に対する開示の質と量の充実、金融機関と事業者との積極的な対話を掲げた。また地域レベルでは、地域脱炭素ロードマップに基づき、100か所以上に脱炭素先行地域を設け、2030年までの民生部門の電力消費における脱炭素実現を目指す。

 但し別途示した「成長戦略フォローアップ工程表」では、先端超々臨界圧石炭火力発電(A-USC)、石炭ガス化複合発電(IGCC)では2020年代の実用化、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)を2030年代に実用化させるとし、石炭火力発電を続行する姿勢も見せた。天然ガス火力発電も同様に強化していく方針を掲げた。

 洋上風力については、「2030年度までに運転開始されている一般海域の洋上風力発電事業を5区域以上とする」に留まり、大幅増は期待されない。原子力は「可能な限り依存度を低減しつつ、国内での着実な安全最優先の再稼働の進展」とし、玉虫色の表現を貫いた。小型モジュール炉(AMR)や核融合型原子力発電にも言及した。

 交通・輸送関連では、2030年までに燃料電池車(FCV)用の水素ステーションを現在の約150基から1,000基に増やす。電気自動車(EV)向けの急速充電器も2030年までに現在の約4倍の3万基にまで増やし、ガソリン車並みの利便性を実現するという。

 デジタル政策では、モビリティ、金融、建築の3分野で規制改革を目指す。農林水産業の成長産業化を推進するため、通信環境整備やデジタル人材の育成等を進めるとした。しかし、グリーン成長戦略分野で期待されるデジタルトランスフォーメーション(DX)については、政策強化の方針はなく、関係者を失望させる内容となった。人材育成についても、「民間企業におけるデジタル人材の育成・活用を推進する」に留まり、具体的な課題特定とソリューションは示されなかった。

 経済安全保障では、宇宙、量子、AI、スーパーコンピューター・半導体、原子力、先端素材、バイオ、海洋等の分野における経済安全保障の強化の観点から重要な先端技術について、関係省庁等が連携し、実用化に向けた強力な支援を行う新たなプロジェクトを創出する。また、基幹的なインフラ産業において不可欠な物資・技術について、サプライチェーンの分析を進め、国内における生産能力の確保・強化や調達の多元化など、サプライチェーンの強靱化に必要な対策を検討する。先端半導体の生産拠点やデータセンターの日本への立地も推進する。

 スタートアップ支援では、IPO時の価格が割安になっている状況を是正。同時にSPAC(特別買収目的会社)制度も検討する。中小企業の事業再構築・事業再生支援では、私的整理の利便性拡大を検討する。

【参照ページ】成長戦略会議

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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