アジア機関投資家の気候変動イニシアチブAIGCCに加盟する13の機関投資家は6月7日、アジア地域の電力大手5社に対する集団的エンゲージメントを開始すると発表した。二酸化炭素排出量削減、情報開示の強化、気候関連リスクのガバナンス強化を要求する。13の機関投資家の運用資産総額は8.8兆米ドル(約960兆円)。
今回エンゲージメント対象となった5社は、電源開発(Jパワー)、中部電力、香港のCLPホールディングス、中国の華潤電力、マレーシアのテナガ・ナショナル。選定理由は、石炭火力発電の高い依存度等による二酸化炭素排出量の多さ。5社での二酸化炭素排出量の2019年合計は、2.85億tで、スペイン1ヶ国分に相当する。
また同プログラムでは、Climate Action 100+(CA100+)とも連携し、CA100+を補完する活動と位置づけられているため、CA100+のエンゲージメント対象の電力会社は今回の対象からは除外された。日本の電力会社でCA100+のエンゲージメント対象企業はない。
【参考】【国際】機関投資家団体CA100+、167社の気候変動要求レベル到達状況を公表。今後のエンゲージメント強化へ(2021年3月24日)
同プログラムの参加投資家は、三井住友トラスト・アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、アムンディ、BNPパリバ・アセット・マネジメント、フィデリティ・インターナショナル、JPモルガン・アセット・マネジメント、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、GIC、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、イーストスプリング・インベストメンツ、国泰金控(キャセイ・フィナンシャル・ホールディングス)、インカム・パートナーズ。「アジア電力会社エンゲージメント・プログラム」と命名されている。
今回のエンゲージメントでは、対象企業に対し、パリ協定との整合性のある短期、中期、長期の脱炭素化(カーボンニュートラル)戦略を明確に開示し、国際エネルギー機関(IEA)のNZE2050シナリオに基づく石炭火力発電の段階的廃止のスケジュールを示すことも要求している。NZE2050シナリオでは、炭素回収・利用・貯留(CCUS)設備を敷設していない石炭火力発電を先進国では2030年までに、それ以外でも2040年までに全廃することを求めていることにも言及した。あらに天然ガス火力発電に関しても、CCUS設備がないものは、2030年までに発電量を削減し、2040年までに2020年比90%減も要求している。
【参照ページ】Launch statement from investor participants in the Asian Utilities Engagement Program
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