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【アメリカ】エネルギー省、2035年までに太陽光で40%。2050年にSAF100%。米印連携も締結

 米エネルギー省(DOE)は9月8日、米国の電力のカーボンニュートラル化に向け、太陽光発電が重要な役割を果たすと分析した調査報告書「Solar Futures Study」を発表した。2035年までに太陽光発電が全電力の40%を賄い、50万人から150万人の雇用を創出できるとの見通しを示した。国立再生可能エネルギー研究所が調査報告書を作成した。

 米国では、2020年に太陽光発電の新規設備容量が15GWを突破。合計で76GWとなり、現在の電力の3%を供給している。同報告書では、米国は年間の太陽光発電設備容量を4倍に増やし、2035年までに1,000GWにまで到達させるというビジョンを示した。2050年には1,600GWになる見通しで、現在米国の全住宅・商業ビルの電力消費量を上回るという。さらに、エネルギーシステム全体でのカーボンニュートラルを進めれば、運輸、建築、産業の各分野で電化が進み、2050年までに3,000GWの太陽光発電が導入されるポテンシャルまであるとした。

 同省は、実現に向けた電力ミックスとして、2025年から2030年までに年間平均60GWの太陽光発電を新規導入。他にも、風力発電が36%、水力が5%から6%、バイオマスと地熱で合計1%、原子力で11%から13%との試算を出した。そのために、「技術開発」がカギとした。

 雇用創出効果は、太陽光発電だけで全米で50万人から150万人。クリーンエネルギーに向けたエネルギーシステム全体では約300万人。太陽光発電と風力発電を支える蓄電施設でも、現状の30GWをから2035年には400GW、2050年には1,700GWにまで増強することができるという。また、再生可能エネルギーに転換することによる健康・ウェルビーイング向上で、健康面でのコスト削減が1.1兆米ドルから1.7兆米ドルとなり、クリーンエネルギーへの移行コストを遥かに上回ることも確認した。2035年までにコスト削減により、電力料金の上昇は「ない」と予測した。

 また同省は9月9日、今後の再生可能エネルギー発電の台風の目となるインド政府との間で、「米印戦略的クリーンエネルギーパートナーシップ(SCEP)」を発足した。ジェニファー・グランホルム米国エネルギー長官とインドの石油・天然ガスおよび住宅・都市問題担当相が共同議長を務める。

 同パートナーシップでは、4月に米バイデン大統領と印モディ首相が発表した「米印気候・クリーンエネルギー・アジェンダ2030パートナーシップ」に基づくもの。インドでのエネルギーや工業のカーボンニュートラル化に向け、「電力と省エネ」「再生可能エネルギー」「責任ある石油とガス」「持続可能な成長」「新興燃料」の5つの柱で協力する・特に、企業等のステークホルダーを巻き込んだ技術開発に重点を置く。

 インド政府は、2030年までに450GWの再生可能エネルギー電源を導入する目標を掲げており、米国はSCEPを通じて支援していく。新興燃料には、水素、バイオエネルギー、廃棄物発電、炭素回収・利用・貯留(CCUS)、代替燃料も含む。鉄鋼、セメント、化学でのカーボンニュートラルについても盛り込んだ。「責任ある石油とガス」では、メタンガス削減技術や新たなクリーンエネルギーの活用とともに、。戦略的石油備蓄の運用・維持に関するベストプラクティスもシェアする。民生用原子力発電も盛り込んだ。さらに、「ジャスト・トランジション(公正な移行)」も掲げ、最も影響を受けているコミュニティにおいて、雇用創出と技能向上の機会を特定しにいく。

【参考】【インド】モディ首相、150兆円のインフラ計画表明。太陽光、EV、グリーン水素への投資加速(2021年8月16日)
【参考】【国際】インド主導の国際太陽光同盟、75ヶ国加盟。ドイツも署名。2030年までに1000GWの太陽光発電(2021年5月15日)

 さらに同省は同日、2050年までに航空分野の脱炭素化を目指す米大統領府の「持続可能な航空燃料(SAF)グランドチャレンジ」の一環として、費用対効果の高い低炭素バイオ燃料の生産に焦点を当てたプロジェクトに6,470万米ドル(約72億円)の補助金を提供することも発表した。航空機や船舶等の大型輸送機関で使用される石油燃料の代替となる技術を開発し、2050年までに航空・海運での米国の排出量をゼロにしにいく。

 SAFグランドチャレンジでは、DOE、米運輸省、米農務省の3省は覚書を締結し、2030年までに少なくとも年間30億ガロン(約114億l)のSAFを供給し、2050年までに航空燃料需要(現在は年間350億ガロン)の全量を賄う目標を設定。必要な研究・開発・実証(RD&D)を共同実施することも決定した。

 今回の発表では、航空・海運では、電動化の難易度が高いと説明。SAFでの原料としては、農作物の廃棄物、食品廃棄物、藻類等の有機物を念頭に置いた。今回の補助金支給先でも、とうもろこしの茎や葉、埋立廃棄物ガス、セルロース系の残渣、食品廃棄物を原料とするものを支援対象とした。

【参照ページ】DOE Releases Solar Futures Study Providing the Blueprint for a Zero-Carbon Grid
【参照ページ】U.S. and Indian Ministers Revitalize the Strategic Clean Energy Partnership
【参照ページ】DOE Announces Nearly $65 Million for Biofuels Research to Reduce Airplane and Ship Emissions

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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