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【イギリス】ガス価格、史上最高値にまで高騰。急な需給悪化、運転手不足、点検集中等の複合要因

 英国でガス市場価格が急騰している。新型コロナウイルス・パンデミック前に、1サーム当たり約40ペンスだったが、パンデミック後は一時約10ペンスまで急落。その後、2021年の冬には80ペンスまで上がるも、その後は40ペンスで落ち着くかにみえたが、4月から高騰が始まり、現在は史上最高値の180ペンス近くまで上がってきている。

 英政府は9月18日、今回のガス価格高騰は、複数の要因が重なった結果と説明した。まず、パンデミックからの経済再開で、落ち込んでいたガス需要が世界全体で一斉に増加していること。そして、近年の冬期の寒さに備えるためのガス備蓄。また、パンデミックで延期されていた施設点検が2021年に集中し、稼働率が低下したことや、米国の天候不順で再生可能エネルギー発電が落ち込み、米国の輸出量が想定より少なかったこと等を挙げた。

 他にも、英国のガス価格高騰に関しては、EU離脱により、英国内のトラック運転手数が減少し、輸送が滞っていることも指摘されている。ブレグジットで、英国を去ったトラック運転手は25,000人と言われており、またパンデミックで、新たなトラック運転免許発行も停滞していた。現在、英国のトラック運転手の欠員は10万人とも見積もられている。そのため、ガス供給量を増やそうとしても、順調に行っていない模様。

 英政府は事態に対処するため、ガス供給の30%を頼っているノルウェーからの輸入増でノルウェー政府と協議。ノルウェー国営エクイノールが、ガス採掘を増産し、英国向けの供給量も増やす。また、再生可能エネルギー電源をさらに拡大することも強調した。

 陸上輸送の停滞に関しては、陸軍のタンクローリー運転手の動員を決定。燃料輸送のための専門的な訓練を受け、任務に当たるという。10月2日には、早速100人の運転手の派遣を決めた。さらに、直近で免許が失効する運転手の緊急延長も決定し、免許更新に必要な再訓練コースを一時免除した。さらに、トラック運転免許試験数の緊急増加、外国人運転手への短期ビザの発行、運転手を最大3,000人訓練する新たなスキルブートキャンプ等も発動した。

 英国では、ガソリン・ディーゼル給油を不安視した市民が、パニック買いをする事態にまで発展。英政府は、燃料供給は順調にいっていることを、石油大手と連名で伝え、市場の沈静化も図っている。英政府は、通常は、競争法の観点から、石油業界の企業同士の情報共有を禁止しているが、今回は情報共有ができるよう規制を緊急緩和した。

 英国のガスに関しては、ガス備蓄が十分でなかったという意見もある。また、欧州がガス供給の多くを依存しているロシアは、供給を減少させていることも価格上昇の圧力となっている。ロシアの供給源の背景には、政治的思惑もあるとみて、欧州委員会では調査を始める動きもある。

インターファクス通信は、系統運用会社ガスケードのデータを引用して、火曜日にヤマル・ヨーロッパ・パイプライン経由のロシア産ガスの流量が半分以下になったことで、供給量が減少したと報じました。

 英政府は、悪影響を受けた低所得者層への支援策として、140ポンドの補助金支給を決めた。ガス高騰で、倒産するガス・電力小売事業者も出てきているが、英政府は、リスクマネジメントは企業の責任とし、救済はしない考え。

【参照ページ】UK gas supply explainer
【参照ページ】New measures to further ease fuel supply chain pressures

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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