
国際エネルギー機関(IEA)は3月12日、IEA石油市場レポート(OMR)の2026年3月版を発表した。2025年5月より月次で発行されており、今回で13回目。中東紛争に起因する石油市場の現状を反映している。
【参考】【国際】IEA、石油緊急備蓄4億バレルの放出を全会一致で合意。実施方法はIEAが適宜発表(2026年3月13日)
同報告書では、今回の中東紛争は世界の石油市場において、史上最大の供給途絶を引き起こしていると報告。ホルムズ海峡を通る原油・石油製品の輸送量は、紛争開始前の日量約2,000万バレル(世界の海上石油貿易量の約25%)から、ごくわずかな水準にまで激減。これに伴い、貯蔵施設の逼迫や輸出ルートの喪失から、湾岸諸国は少なくとも合計で日量1000万バレルの生産削減に踏み切っている。
IEAは、世界の石油供給量は3月に日量800万バレルも急減すると予測。中東での減産は、OPEC+以外の産油国、カザフスタン、ロシアの増産で部分的に相殺される。供給損失の規模は、紛争の長期化や輸送途絶の継続期間に左右されるものの、2026年の世界の石油供給量は平均で日量110万バレル増加すると推定され、増加分はすべてOPEC+以外の産油国によるものだとした。
深刻な供給不足を背景に原油価格は乱高下しており、ブレント先物は一時1バレル120米ドル目前まで高騰。その後は1バレル92米ドル前後で落ち着いているが、紛争勃発から同月内で20米ドルの大幅な上昇を記録した。
需要面では、中東の主要空港での広範なフライトキャンセルやLPガス(液化石油ガス)供給網の混乱により、3月及び4月の世界の石油需要は日量約100万バレル程度押し下げられる見込み。これらを反映し、IEAは2026年の世界の石油需要成長予測を日量64万バレルへと下方修正した。
また、緊急備蓄から4億バレルの石油を市場に供給することを全会一致で合意したことを受け、IEA加盟国は3月15日、各国の個別の実施計画をIEAに提出した。アジア・オセアニア地域のIEA加盟国は直ちに備蓄物資を提供する一方で、南北アメリカやヨーロッパのIEA加盟国は3月末から順次備蓄物資を提供する予定だ。
【参考】【国際】IEA、石油緊急備蓄4億バレルの放出を全会一致で合意。実施方法はIEAが適宜発表(2026年3月13日)
備蓄放出の各地域の内訳は、アジア・オセアニア地域が合計約1.1億バレル、南北アメリカが合計1.96億バレル、ヨーロッパが合計約1.1億バレル。放出される備蓄のうち、72%が原油、28%が石油製品で構成される。
(出所)IEA
【参照ページ】Update on IEA collective action decision of 11 March 2026
【参照ページ】Oil Market Report – March 2026
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