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【アメリカ】政府、家庭の医療費債務を軽減する政策発表。信用調査情報から除外

 米バイデン政権は4月11日、家庭の医療費債務を軽減する政策を発表した。医療提供者と債務回収事業者に対し、家庭の医療費債務の取り当てを過渡に行った場合には、処罰される。

 米国では、成人の3人に1人が医療費債務を抱えている状態で、家庭負債で最大の負債額となっている。特に、マイノリティ人種の世帯では、白人世帯より医療費を抱える可能性が高い。また、医療費負債を抱える人の約半数が、意図的に通院を避けていることも判明しており、国内の健康悪化の原因にもなっている。

 バイデン大統領は2021年2月、アメリカ救済計画法に署名。低所得者向け公的医療保険メディケイドへの加入を後押しする予算を設定。具体的には、メディケイドの実質的な運営主体となっている州政府に対し、メディケイド加入数増に対し、助成金を付与する措置を発動した。同様に要介護者へのサービス提供の拡大にも予算をつけている。4月5日は、連邦政府機関に具体的措置を命ずる大統領令に署名。今回の措置をその一つ。

 まず、保険未加入者での対策では、債権回収のルールを強化する。米国では、保険未加入者が医療費を支払わない場合、医療機関に対し、適切な支払計画や経済支援の提供を義務付けている。しかし、医療機関は、債権回収事業者に債権を売却してしまい、債権回収事業者が取り立てるケースも増え、医療費訴訟も増加してきているという。そこで、保健福祉省は、2,000以上の医療機関に対し、医療費の徴収方法、患者への訴訟、経済的支援、金融商品の提供、第三者との契約や債務の買い取り方法に関するデータの提供を要請する。さらに提供された情報を、同省の助成金支給の判断材料として活用する。

 別途、消費者金融保護局(CFPB)は、患者や家族の権利を侵害する信用調査会社や債権回収事業者を調査。違反者に責任を負わせるとした。CFPBはすでに、違法な医療費の債権回収や報告を防止するための通達を発出済み。CFPBは今後、強制的な信用調査を対象とし、未払いの医療費請求データを信用調査報告書に含めるべきかどうかも判断する。

 医療費債務が、家庭の与信に及ぼす影響も軽減する。すでに、米国3の信用調査機関の90%の市場シェアを占めているエキファックス、エクスペリアン、トランスユニオンの3社は、完済開始済みの債務、1年未満の債務、500米ドル未満の債務を信用情報に含めなことを発表済み。これにより、数十億米ドルの医療費負債が消費者報告から削除された。

 しかし、依然として、500米ドル以上の債務を保有している3分の1を占める家庭は、債務情報除外の対象から外れている。例えば、2,000米ドル以上の医療費負債を抱える米国市民は1,100万人、1万米ドル以上も300万人いるという。そこで今回、連邦政府機関に対し、医療費負債を信用情報に影響を及ぼさないようにする指示を発出。連邦機関が提供する住宅ローンや中小企業ローンを受けやすくした。背景には、統計調査を実施したところ、医療費負債を追っている消費者は、追っていない消費者と同じ割合で支払をしていることが判明したという事情がある。そのため、連邦政府は、医療費負債を消費者信用情報に含めることは適切ではないとしている。

 さらに退役軍人向けのVA医療保険では、退役軍人50万人以上が抱える医療費債務を全額免除。加えて、VA医療保険から消費者報告機関への情報共有を事実上全面停止した。

【参照ページ】FACT SHEET: The Biden Administration Announces New Actions to Lessen the Burden of Medical Debt and Increase Consumer Protection

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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