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【日本】三菱と日産の元EV責任者、EVへの抜本転換を提言。「このままでは半導体産業衰退の二の舞」

 国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)は3月4日、日本の自動車業界の状況と、電気自動車(EV)化への転換の道筋を示したレポートを発行した。国際環境NGOが日本の自動車業界に焦点を当てて警鐘を鳴らすレポートを書くのは異例。日本語と英語の双方で発行された。

 今回のレポートは、三菱自動車でEV「i-MiEV」開発のプロジェクトマネージャーを務めた和田憲一郎氏と、日産自動車でEV「日産LEAF」のデザイン・ディレクターとしてEV設計の総括を務めた井上真人氏に委託される形で執筆された。両人とも各々の企業をすでに退職し、コンサルタントや大学教授として活躍している。その点で、日本の自動車業界の内側にいた専門家が課題を明らかにしている。

 同レポートでは、まず、日本国内ではEVの販売が非常に少なく、電動車のほとんどがハイブリッド車(HV)である課題を指摘。また日本ではEV用のリチウムバッテリーを製造しているメーカーが少なく、電池が高いことや、HEV用ニッケル水素電池等は、トヨタとパナソニックが大規模に投資を行っているが、最近まで投資は少額だったことも課題とした。さらに、日本国内には急速充電器が7,600基存在しているが、その内、40%以上がディーラーに設置されているため、そのメーカーの車の購入者以外には利用しにくい状況となっているという。

 その中で、欧米中では、EVの人気が上昇。HVに「重点を置き続ける日本の自動車産業の方向性は、明らかに世界の市場の動向に合っておらず、遅れをとっている」と明言。日本の自動車産業は収益基盤の75%を海外での製造販売に依存しており、EV化を進める国際的な市場の流れに否応なく適応していかざるを得ないのは明白とした。それでも、日本の自動車業界がHVにこだわり続ける姿勢を問題視した。

 両氏は、このままいけば、日本の自動車業界は、「半導体産業衰退の二の舞」になるおそれがあり、政府の支援と業界の積極投資が重要と強調。「自動車産業がガソリン車、ディーゼル 車、HVに依存し続ける場合、海外への輸出は諸外国での内燃機関車の販売規制等により 50%減少し、輸出用の国内生産も50%減少した場合は、業界の労働者がさらに2030年には23%減の370万人になり、現在の542万人からさらに172万人も減少する」と推測した。

 TCGは、2030年までに事業運営に関係する車両を全てEVに転換する国際イニシアチブ「EV100」を運営。3月の時点で加盟企業は121社にまで増えている。

【参考】【国際】国際環境NGOのThe Climate Group、電気自動車推進イニシアチブ「EV100 」発足(2017年10月4日)

【参照ページ】Japan and the global transition to zero emission vehicles ゼロエミッション車に向かう世界の中の日本

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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