
ドイツ電力大手RWEは7月29日、米国法人RWEアメリカズの分散型クリーンエネルギー(DCE)事業を、米ゴールドマン・サックスのオルタナティブ運用部門ゴールドマン・サックス・オルタナティブズのインフラ事業部門に売却する契約を締結したと発表した。
RWEは、15年以上前に米国の再生可能エネルギー事業に参入。RWEアメリカズは、陸上風力発電、太陽光発電、蓄電所を全米27州で合計13GW以上保有。米国における再生可能エネルギー事業者として第3位の規模を誇る。2023年3月には、米ニューヨーク州に本社を置く再生可能エネルギー開発大手コン・エジソン・クリーン・エナジー・ビジネスの全株式を買収し、太陽光発電を中心とした稼働中の発電所を約3GW、開発中を7GW獲得している。
RWEは、クリーンエネルギー事業を拡大して2040年までにカーボンニュートラルを達成し、2030年までにグローバルで総額500億ユーロを投資する「Growing Green」戦略を掲げており、米国への投資に最大150億ユーロを割り当てる計画。2026年6月には年限6年と11年のグリーンボンドを総額15億ユーロ(約2,700億円)発行し、発行時には数倍の買い注文が入った。同グリーンボンドの資金使途は、風力発電、太陽光発電、蓄電、グリーン水素で、EUタクソノミー原則及びEUグリーンボンド基準にも準拠させた。また同社は、2030年までに生物多様性に「ネットでプラスの影響」をもたらすという目標も設定している。
今回ゴールドマン・サックス・オルタナティブズに売却する分散型クリーンエネルギー(DCE)事業は、全米16州で稼働中の発電所の設備容量が約348MW、開発中が1.2GWある。売却後も、RWEが同発電所の運営・保守を担当する。RWEは、今後、米国では大規模なクリーンエネルギー事業に注力していく考え。ゴールドマン・サックス・オルタナティブズは、「分散型発電は、米国の電力インフラにおいて最も重要な分野の一つ」と評価している。
RWEは、洋上風力発電のリーディングカンパニーでもあり、すでに欧州を中心に18カ所の洋上風力発電所を運営している。設備容量合計は4GW以上。さらに、建設中のプロジェクトには、英国沖のソフィア風力発電所(1.4GW)、デンマークのトール洋上風力発電所(1.1GW)、ドイツのユイスト島北部のノルトゼークラスター(1.6GW)、そしてトタルエナジーズと共同で開発を進めているオランダのオランジェウィンド洋上風力発電所(795MW)等がある。2030年までに世界の洋上風力発電設備容量を10GWに拡大することを目標に掲げている。
一方、米国での洋上風力発電開発については、すでに10億米ドル以上を投資してきたが、建設阻止で動いていた米内務省との間で8月6日に和解が成立した。同社は、ニューヨーク、カリフォルニア、ルイジアナの各州沖合における洋上風力発電のリース権を返上する代わりに、和解金として12.2億米ドル(約1,900億円)を米内務省から受け取る。
【参考】【アメリカ】内務省とトタルエナジーズ、洋上風力リース取消で和解。1600億円を米国内に再投資(2026年3月25日)
さらに、ルイジアナ液化天然ガス(LNG)プロジェクトの間接持分16%を取得するために、9億米ドルを投資し、ターミナルの建設費用に充当される。加えて、3億米ドルの天然ガス火力発電タービンの予約契約を締結した。同社は、米国の対象市場で天然ガスピーク発電プロジェクトを15件開発中。RWEアメリカズは今回、今後6年間で再生可能エネルギーと天然ガス火力発電で米国に約170億ユーロを投資し、現在27州にまたがる約13GWの設備容量を、2031年までに22GWに拡大する計画を発表した。
日本では、RWEの日本法人RWE Offshore Wind Japan村上胎内が、三井物産及び大阪ガスと共同で新潟県村上市及び胎内市で開発を進める「村上胎内洋上風力発電」に出資している。同発電所は、15MW機を46基設置する計画で設備容量は690MW。当初は、米GEベルノバ製の18MW機を38基設置する予定だったが、GEベルノバが同機の開発を中止したため、他社の15MW機に変更する。陸上工事は2025年10月に開始しているが、建設計画が遅れており、洋上工事開始は2027年1月から2028年4月に延期されている。運転開始は2029年6月の予定。2027年4月から漁業影響調査を開始する予定。
米国での再生可能エネルギー事業では、8月3日に米グーグルとの間で、オクラホマ州におけるRWE初の太陽光発電プロジェクト「クロウクド・クリーク・ソーラー」に関する新たな15年間の電力購入契約(PPA)締結したと発表。設備容量は155MWで、2028年に商業運転を開始する予定。
イタリアでは、7月2日に初の大規模ソーラーシェアリング(営農太陽光発電所)2カ所の稼働が開始。カンパニア州ベネヴェント県のモルコーネ発電所が9.8MW、アクアフレッダが9.3MW。合計で約32,500枚の太陽光発電パネルが設置された。同発電所の開発では、ナポリ・フェデリコ2世大学(UNINA)農学部の協力を得、3年間のモニタリングプログラムを実施。UNINAの研究チームは、モルコーネとアクアフレッダのソーラーシェアリング・プロジェクトが、土壌、作物、生態系サービスに及ぼす環境的および農学的影響を評価。さらに設置前後には、農業気象観測、酵素活性、微生物多様性、中型土壌動物等を含む化学的・生物学的肥沃度に関連する土壌健全性指標、作物の生態生理学的状態と収量、受粉媒介者群集・自生植生等をモニタリングすることになっている。
蓄電所分野では、ドイツのハンバッハ露天掘り(MTR)鉱山の敷地内に新たな大規模蓄電所を建設中です。3haの敷地に計128基のリチウムイオンバッテリー・コンテナを設置する。準備工事は2025年末に開始されており、2027年の稼働開始を予定している。設備容量は236MW、蓄電量は470MWh。同社は、ドイツ国内だけでも、約1.7GWの蓄電所を建設中。
核融合分野では、7月7日にドイツのミュンヘンを拠点とする磁気核融合スタートアップProxima Fusionの資金調達ラウンドに2,500万ユーロを出資。Proxima Fusionは、バイエルン自由州、マックス・プランク・プラズマ物理学研究所(IPP)、RWEとの間で協力協定を締結済み。RWEのグンドレミンゲン拠点で世界初の商用磁気核融合発電所を建設することを目標としている。
送配電分野では、7月24日に、ドイツの4大送配電事業者の1つアムプリオンの持分比率を従来の20%から55%に引き上げることに成功。買収額は36億ユーロ。RWEは、2031年までに、アムプリオンへの出資持分に関連する送電網拡張に65億ユーロを投資する見込み。
【参照ページ】RWE signs agreement to sell U.S. distributed generation business to Goldman Sachs Alternatives
【参照ページ】RWE successfully issues €1.5 billion Green Bond
【参照ページ】RWE agrees to acquire Con Edison Clean Energy Businesses, Inc. and to become one of the top leading renewable energy companies in the United States
【参照ページ】RWE U.S. Offshore reaches settlement agreement with U.S. Department of Interior on offshore wind leases
【参照ページ】RWE and Google sign power purchase agreement for Oklahoma solar project
【参照ページ】RWE has commissioned its first commercial-scale Agri-PV plants in Italy
【参照ページ】RWE to build large-scale storage at Hambach mine
【参照ページ】RWE invests 25 million euros in fusion technology start-up Proxima Fusion
【参照ページ】RWE successfully closes acquisition of stake in Amprion
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