国際労働機関(ILO)の合同海事委員会(JMC)船員賃金小委員会は5月18日、適格船員の最低月額基本賃金を引き上げることで合意した。2023年から2025年にかけ3段階で引き上げられる。
「船員の権利章典」として知られる2006年海上労働条約MLCは、2013年8月20日に発効。101のILO加盟国が批准し、世界の海運総トン数の96.6%をカバーしている。MLCは、加盟国に対し、船員の基本給または賃金が、JMC等が定期的に公式決定する最低賃金を遵守することを義務付けている。また、船員に関し、船員としての職務を全うするために必要な資質と能力を備えている状態を確保することも義務付けている。
今回JMCは、2023年1月1日付で、ILOの適格船員の最低基本賃金を658米ドルに引き上げることで合意。2024年1月1日からは666米ドル、2025年1月1日からは673米ドルに引き上げられる計画も示した。
また5月13日には、500人以上の政府、船主、船員の関係者は、2006年海上労働条約の改正案にも合意。具体的には、船員への良質な飲料水の確保、女性船員用の個人用保護具の確保、船員への港湾でのインターネット環境の提供、派遣・職業紹介事業者が船員に金銭的損失を補償すること等を義務化。また国に対しては、遺棄された船員の迅速な本国送還の促進、緊急援助を必要とする船員への医療提供の促進等を義務化した。最終的には6月までに開催されるILOの国際労働会議で最終決議され、2024年12月までに発効する予定。
【参照ページ】ILO body adopts new minimum monthly wage for seafarer
【参照ページ】Shipping industry adopts amendments to Maritime Labour Convention to improve seafarers’ conditions
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