欧州委員会は7月15日、水素技術のバリューチェーンにおける産業展開を支援する「欧州共通利益の重要プロジェクト(IPCEI)」として「IPCEI Hy2Tech」プロジェクトを承認したと発表した。IPCEIの水素技術領域における承認は今回が初。
IPCEIは2018年11月、欧州委員会により2018年に3月に設立された専門家グループ「Strategic Forum on Important Projects of Common European Interest」により定められた重点事業セクターのこと。コネクテッド・クリーン・自動運転の自動車、水素技術と水素インフラ、スマートヘルス、産業でのIoT、低炭素産業、サイバーセキュリティの6分野。
水素技術と水素インフラ領域では、「水素生成」「燃料電池」「水素の貯蔵、輸送、流通」「モビリティ分野を含む消費者への提供」を含む水素技術のバリューチェーン全体を対象としている。高効率の電極材料、高性能な燃料電池、水素モビリティに関する輸送技術のイノベーション等、重要な技術的ブレークスルーの実現への貢献が期待されている。
【参考】【EU】欧州委の専門家グループ、欧州産業戦略の提言レポート発表。競争力強化の重点6セクター設定(2019年11月7日)
【参考】【デンマーク】オーステッド、アヴェドレ・バイオマス発電所でBECCS実現へ。合成燃料生産(2021年6月24日)
同プロジェクトは、15の加盟国が共同で行うプロジェクト。オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペインが参加している。
今回の発表では、最大54億ユーロ(約7,600億円)の公的資金を投入する。これにより、民間投資を88億ユーロ(約1.2兆円)呼び込む計画。8社の中小企業やスタートアップを含む35社が41のプロジェクトに参加。約2万人の直接雇用を創出できる見込み。
【参照ページ】State Aid: Commission approves up to €5.4 billion of public support by fifteen Member States for an Important Project of Common European Interest in the hydrogen technology value chain
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