【EU】欧州委、EU加盟国のデジタル進捗ランキングDESIの2022年結果発表。首位フィンランド

　欧州委員会は7月28日、EU加盟国のデジタル進捗度合いを評価した「デジタル経済・社会指数（DESI）」の2022年結果を発表した。首位はフィンランド、デンマーク、オランダ、スウェーデンと続いた。最下位はルーマニアだった。同ランキングは毎年発表されている。

【参考】【EU】欧州委、EU加盟国のデジタル進捗ランキングDESIの2021年結果発表。首位デンマーク（2021年11月19日）

　DESIは、EUの政府統計Eurostatと、専門調査の双方が情報ソース。人材・スキル、コネクティビティ、企業のデジタル技術統合、デジタル政府の4つの観点から各国情報を評価し、スコアリングしている。2021年版で未掲載だった新型コロナウイルス・パンデミックの影響に関する分析が盛り込まれた。

（出所）EU

　新型コロナウイルス・パンデミックによりデジタル化は進んだ一方で、デジタルスキル、中小企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）、5Gネットワークの展開には苦戦。また、人工知能（AI)やビッグデータなどのデジタル技術の普及率も低い結果となった。

　人材・スキルでは、EUの個人の54%が少なくとも基本的なデジタルスキルを持っている状況だが、2021年の56%から低下。ICTスペシャリスト就業者は前年の840万人から、今回の900万人へと増加した。EUは、「デジタルの10年」政策の中で、人口の80%が基本的なデジタルスキルを持ち、EUの労働人口の4.5%に当たる2,000万人のICTスペシャリストを確保するという目標を掲げている。目標達成のためにアクションの加速が必要だとした。2021年時点で労働人口に占めるICTスペシャリストが高いのは、スウェーデンの8%、フィンランドの7.4%。昨年同様、ICTスペシャリストの女性割合は19%というジェンダーギャップは改善していない。

　コネクティビティでは、EUの70%の世帯で「超大容量ネットワーク」（VHCN）が利用可能となり、昨年の59%から増加した。しかし2030年の目標として掲げている100%にはまだほど遠い。農村部のVHCNカバー率は、2020年の28%から2021年には37%に向上。5Gの都市部のカバー率は2020年の14%から66%と大幅に増加した。要因は、4Gで利用される周波数の一部を5Gと共用するDSSの活用。5Gへの周波数帯の割合が完了していないことが課題とした。　　

　企業のデジタル技術統合では、昨年同様クラウド活用が進み、昨年の26%から34%に増加した。しかし、AIとビッグデータの利用率は8%と14%と、2030年目標の75%までのギャップが大きく、大企業と中小企業の差も大きい。また、EUは2030年目標では、基本レベル以上のデジタル技能を備えている中小企業を2030年には90%に引き上げることを掲げているが、現状は55%だった。

　デジタル政府の利用率は65%。課題として、加盟国間の規格統一ができていないことを指摘した。安全なデジタル越境取引の重要な実現手段であるeIDAS規則に基づいたID制度が実現できているのは、18カ国しかない。公共オンラインサービス普及に向けて、デジタルスキルの低いユーザーや障害のあるユーザーを含めたアクセシビリティの向上、あらゆるライフイベントとの接続、一貫性のあるユーザー体験が重要だとした。
　
　EUでは、復興支援ファシリティ（RRF）の一環として、EU加盟国に対し、復興支援計画から得られる国家基金の少なくとも20%をデジタル分野に費やすことが課されている。これまでの投資総額1,270億ユーロ（約17兆円）であり、割当平均は26％、オーストリア、ドイツ、ルクセンブルグ、アイルランド、リトアニアでは、30％以上を費やした。

【参照ページ】Digital Economy and Society Index 2022: overall progress but digital skills, SMEs and 5G networks lag behind

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所