EU加盟国エネルギー担当閣僚級のEU理事会は9月30日、欧州委員会が9月14日に提示した一連の電気・ガス料金抑制政策案を承認した。10月上旬に書面手続で正式に決議し、EU官報掲載の翌日から施行される予定。キプロスとマルタは適用免除。
【参考】【EU】欧州委、化石燃料企業や低コスト発電企業への超過利益税提案。定量的な省エネ義務化も(2022年9月15日)
今回の合意では、2022年12月1日から2023年3月31日の間に、電力消費量の10%を自主的な削減目標とし、ピーク時の5%消費量削減を義務目標とすることを承認。現在、EU加盟国では全体平均で電力価格が昨年より35%高い水準にある。同制度の期限は2023年3月31日まで。
また、同じく欧州委員会が提案した低価格発電企業への超過利益税への課税も承認した。これにより、再生可能エネルギー、原子力発電、褐炭での石炭火力発電の事業者に対し、1MWh当たりの売電価格の上限が180ユーロに設定され、超過分は強制的に徴収される。上限価格については、再生可能エネルギーへの投資を阻害しない水準を考慮し設定された。また、上限価格の引上げ、技術毎の条件価格の変更、売電収入そのものの上限設定等は、加盟国の判断で導入できることも認められた。
超過利益税で徴収した資金は、EU加盟国の低所得者向け支援として再分配される。電気の純輸入状態にある加盟国は、2022年12月1日までに、電気輸出国との間で協定を締結し、再分配の不公平を軽減できるようにする。
加えて、原油、天然ガス、石炭、化石燃料精製事業者の利益に対し、強制的な一時的連帯負担金を設定することも承認した。連帯負担金は、2022年と2023年の会計年度に適用され、2018年以降の年間平均課税利益の20%を上回る課税利益に対して課される。連帯負担金は、二重課税前提で導入されるため、加盟国で適用される既存の税金や課徴金に加えて適用される。また、EU加盟国からは、エネルギー事業者への独自の課税制度「ウィンドフォール税」を認めるよう要請が上がっていたが、これも認められた。少なくとも同等の収益を上げることを条件に、同等の国内措置を維持する権限が付与された。加盟国は、連帯拠出金による収入を、家庭や企業への資金支援等に用いることも決められた。同制度の期限は2023年6月30日まで。
中小企業向けに一時的に販売価格を設定できる制度についても承認された。これにより、緊急措置として原価を下回る価格で中小企業に電力を供給することが容認された。
【参照ページ】Council agrees on emergency measures to reduce energy prices
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