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【日本】消費者庁、食品ロス動向で最新資料発表。食品価格高騰で重要性増す

 消費者庁は9月29日、日本の消費者側での食品ロスの現状を整理した資料「食品ロス削減関係資料」の更新版を発表した。日本の食品ロス(可食部の食品廃棄物)は2020年度で522万t。そのうち47%が家庭からの排出。これには、家庭での廃棄、飲食店での食べ残し、家庭での調理時の過剰除去が含まれる。

 家庭系食品ロスの算出は、環境省が市区町村向けに把握推計手順のガイドラインを策定しており、市区町村が任意に実施している。手順では、代表的な住宅地域を選定し、家庭から排出された段階のごみ袋を直接採取。ごみ袋を開封し、サンプル調査している。採取量は、100世帯分程度のごみ袋または生ごみで100kgから150kg程度(ごみ袋全体で300kgから400kg)を目安としている。そのサンプル結果を基に、市区町村全体の食品ロス量を推計。そのデータを環境省が収集し、把握を実施していない市区町村の分も含めて推計し、全国統計を算出している。

 消費者庁は、食品ロスを削減する意義について、食料自給率の低い日本での食料の確保、貧困の解消、ごみ処理費用の削減、家計の食料費用の削減を上げている。食品廃棄物や食品ロスの抑制は環境省と農林水産省が主導しており、2030年度報告までに家庭系を216万t、事業系を273万t、合計で489万tに削減することを目標としている。特に、昨今の食品価格高騰の中で、食品ロス削減の重要性が増してきている。

 消費者向けの政府施策、自治体施策、学校施策は、啓発活動が中心。但し、人口減少による効果以上に今後大きな成果が出るかは不明。そのため、消費者庁は、消費期限と賞味期限を企業に表示しわけるよう奨励し、特に劣化の遅い食品に関しては賞味期限の表示を推奨。製造から賞味期限まで3ヶ月を超える場合は「年月日」ではなく「年月」表示への移行や、賞味期限の3分の1までに小売に納品しなければならない商慣習「3分の1ルール」を、2分の1に広げ、廃棄を減らす「2分の1ルール」への転換も促している。さらに賞味期限を超えても食べられるものがあることを周知するよう発信している。同様のアクションは欧州各国の政府も進めている。

 また消費者庁は、食品ロスを防ぐため個包装を奨励しているが、個包装は包装資源を増やすため、今度は資源量の減少と相反してしまう。企業には、個包装に頼らない食品ロスの削減や、包装のサーキュラーエコノミー化が求められるようになる。

 外食に関しては、食べ残し食品の持ち帰りが可能なことを示す「mottoECO(モッテコ)」マークを、環境省、農林水産省、消費者庁が合同で決定。ドギーバック普及委員会が普及に動いている。また持ち帰り食品の消費は自己責任となることも、政府が明確に打ち出すようになった。

 フードーバンクでは、日本各地でフードバンク団体が立ち上がっており、2021年度だけで42団体増え、合計178団体となった。日本では、企業からの寄贈は「フードバンク」、個人からの寄贈は「フードドライブ」と名称を使い分けている。

 消費者庁は今回の資料発表と同時に、啓発用の資料「食品ロス削減ガイドブック(令和4年度版)」も発行している。

【参照ページ】食品ロスについて知る・学ぶ

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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