欧州委員会は11月22日、10月の欧州理事会の合意に基づき、EU域内の企業や家庭をガス価格の過度の高騰から保護するための市場調整メカニズムを提案。1カ月先までのTTF先物に275ユーロの上限価格を設定するEU理事会規則案を示した。
【参考】【EU】欧州理事会、ガスの任意共同購入やガス価格バンド制導入等で合意。中国警戒も色濃く(2022年10月24日)
今回の提案では、前月のTTF先物価格が2週間にわたり275ユーロを超え、加えてTTF価格がLNGの基準価格より58ユーロ高い日が2週間以内に10日間連続した場合、規制措置が自動的に始動する。エネルギー規制協力庁(ACER)が、直ちに市場修正通知をEU官報に掲載し、欧州委員会、欧州証券市場庁(ESMA)、欧州中央銀行(ECB)に通知する。翌日には価格訂正メカニズムが発動され、上限価格を超える前月限TTFデリバティブの注文は受け付けられなくなる。2023年1月1日から適用が可能となる。
発動後の停止でも自動停止要件を定めた。具体的には、TTF価格がLNGの基準価格より58ユーロ高い日が10日間連続するという発動条件を満たさなくなると自動停止する。また、EUの供給安定性、需要削減努力、EU域内のガスの流れ、財政安定性に対するリスク確認に基づき、欧州委員会が任意に停止することもできる。停止決定によるもの。欧州中央銀行(ECB)を含む関係当局が、リスクの顕在化を警告した場合、欧州委員会がメカニズムの作動を阻止する可能性もある。
EU理事会規則案は、条約第122条を根拠法とし、EU理事会で加盟国の適格多数決により採択される。同規則は1年間の時限立法だが、2023年11月までに延長判断することが可能。
欧州委員会は、今回の市場調整メカニズムがEU理事会で採択されれば、7月に採択された「安全な冬のためのガス節約」規則に基づき、EUアラートを宣言し、需要削減を確実にするためにガスの節約を義務付けることも提案する考え。さらに、ESMA、ECB、エネルギー規制協力庁(ACER)、ガス調整グループ、欧州ガス送電システム運用者ネットワーク(ENTSO-G)による常時監視も開始する考え。
【参照ページ】Commission proposes a new EU instrument to limit excessive gas price spikes
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