欧州議会は12月13日、エヴァ・カイリ副議長の解任動議を、賛成625、反対1、棄権2で、出席議員の3分の2の賛成及び議員全体の過半数の賛成の2つの要件をクリアし決議した。ワールドカップ2022の開催国カタールが関与した汚職疑惑が理由。
同事案では、欧州議会のあるベルギー検察当局が12月9日に、16ヶ所以上を家宅捜索し、6人を逮捕し、約60万ユーロの現金と、PCや携帯電話を押収。カイリ氏を含む4人を「汚職・マネーロンダリング・組織犯罪の罪」で起訴した。
ベルギー検察当局によると、数ヶ月前から連邦司法警察の捜査官が汚職を疑い捜査を開始。今回、「ペルシャ湾岸のある国」が「欧州議会で重要な地位にある人物に金品を支払い、贈り物をし、欧州議会の政治的、経済的決定に影響を与えようとした疑いがある」と説明していたが、早くから「ペルシャ湾元のある国」がカタールと断定されていた。その後の捜査を含め押収された現金は合計150万ユーロ(約2億1,500万円)以上となっている。
欧州議会と欧州委員会は12月13日に討議を開始。イルヴァ・ヨハンソン・ヨハンソン内務担当欧州委員は、汚職にはゼロ・トレランスであるべきだと表明。し、ベルギーの検察当局や法執行機関、メッツォーラ欧州議会議長、欧州議会議員、当局者の全面的な支援と断固たる行動を支持した。
その後、欧州議会は12月15日、カタールによる汚職の疑惑解明と、EU機関におけるより広範な透明性確保の必要性に関する決議を、賛成541、反対2、棄権3の賛成多数で採決。カタールとの間で進められていた査証(ビザ)自由化やEU航空協定等の全ての業務を停止し、カタールの利害関係者代表の欧州議会へのアクセスも禁止した。
また、欧州議会は、EU透明性登録簿を義務化し、義務範囲を第三国の代表者と元欧州議会議員に拡大し、情報をより徹底的に検証するために利用できるよう強化することや、今回以外の問題にも対処するため、調査や裁判の結果を受け、第三国による汚職や不正行為の事例を調べる調査委員会や、議会の枠組みの欠陥を発見し改革を提案する特別委員会を設置することも決めた。
さらに、欧州議会は、一部の欧州議会議員が銀行、多国籍企業、上場企業の経営者、取締役、諮問委員を務めたり、コンサルタントを務めたりする「副業」から生じる潜在的な利益相反を懸念。欧州議会議員は、各任務の開始時と終了時に資産を申告する制度を求めた。第三国から欧州議会議員および政党への寄付をEUレベルで禁止することも求めた。
ヨハンソン欧州委員は、欧州委員会が2023年に、EU機関の腐敗行為に厳罰を科す新たな新法を提案することも表明している。
【参照ページ】Corruption allegations: MEPs call for full internal investigation
【参照ページ】Eva Kaili no longer Vice-President of the European Parliament
【参照ページ】Corruption scandal: MEPs insist on reforms for transparency and accountability
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