【国際】エデルマン・トラスト・バロメーター2023、社会信頼度トップは「企業」。最下位は「メディア」

　PR世界大手米エデルマンは1月15日、各国国民の自国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度を示した「エデルマン・トラスト・バロメーター」の2023年版を発表した。同社は100点満点中60点以上で「信頼されている」と定義しているが、信頼されている唯一の組織は「企業」だった。

　同調査の評価対象国は、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、アイルランド、日本、韓国、中国、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦（UAE）、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、コロンビアの28ヶ国。そのうち今年から含まれたスウェーデンを除いた27ヶ国が国際平均として計算されている。調査では合計32,000人から回答を得た。

　調査結果では、政府、企業、メディア、NGOの4組織のうち、国際平均での信頼度は、企業62、NGO59、政府51、メディア50の順。60を超えたのは企業だけだった。前年比では、企業と政府は変わらず、NGOとメディアがマイナス1だった。日本に関しては、企業47、NGO38、メディア34、政府33の順で、政府が最も信頼されていなかった。

　企業と政府の比較では、「企業信頼度-政府信頼度」において、最大が南アフリカの40。その後、アルゼンチン、ナイジェリア、コロンビア、ケニアと続き、発展途上国や新興国での企業評価が非常に高い。先進国では日本が最多で14。反対に最小がシンガポールでマイナス14。以降、サウジアラビア、UAE、中国の順。企業が政府を上回ったのは21ヶ国だった。

　発信情報の信頼度では、国際平均はNGOが最多で51。企業48、メディア42、政府39だった。組織単位ではなく個人の信頼度では、科学者76、同僚73、自社CEO64、近隣住民63、同じ地区の住民61までが60以上。以降、国民59、他社CEO48、ジャーナリスト47、政府リーダー41の順。ジャーナリストが低いことが目立つ。

　また今回のレポートでは「社会分断」のテーマが大きく取り上げられた。所得上位25%と所得下位25%に絞った4組織全てに対する信頼度の国際平均では、高所得者層は64、低所得者層は49と明確に差が出た。低所得者層でも平均が60を上回った国は、中国71、インド70、インドネシア68、サウジアラビア64、ケニア63、UAE63の6カ国のみ。日本は高所得者層で48で下から3番目。低所得者層で29で下から2番目で、世界の中でも非常に低い。

　社会分断そのものに関する設問では、「分断しているか」と「克服できそうにないか」の2つの設問の組み合わせで、双方が高い「深刻な分断国」が、アルゼンチン、コロンビア、米国、南アフリカ、スペイン、スウェーデン。そして予備軍なのが、ブラジル、韓国、メキシコ、フランス。英国、日本、オランダ、イタリア、ドイツで、先進国がほぼこの枠に入った。

　全体傾向として、分断との認識が小さい国では、企業、政府、NGO、メディアの全てにおいて信頼度が高く、分断している国では信頼度が小さいという結果も出た。

　分断を是正する人か、悪化させる人かという認識では、教師、NGOリーダー、企業リーダーは、分断を是正するとして認識している人が多かった。一方、ジャーナリスト、政府リーダー、敵国、富裕層が分断させていると認識されていた。

　また、ブランドが社会連帯を構築できるかという設問では、24ヶ国が半数以上が「できる」で、企業ブランドに期待している声は多かった。残った3ヶ国は、スウェーデン、ドイツ、日本で、日本は最下位の45%だった。

【参照ページ】2023 Edelman Trust Barometer Reveals Business is the Only Institution Viewed as Ethical and Competent; Emerges as Ethical Force for Good in a Polarized World

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所