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【EU】欧州化学機関、REACH規則に基づくPFAS一斉規制の検討開始。画期的アプローチ

 EUの欧州化学機関(ECHA)は2月7日、約1万種類のパーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を規制する詳細案を公表した。ECHAの2つの科学委員会での審議が3月の会合で実施される。

【参考】【環境】化学物質PFASとは何か? 〜マクドナルドやアマゾンが使用禁止を決めた背景やPFOAとの違い〜(2021年1月17日)

 PFASは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で規制が検討されてきた分野。パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は、すでに2009年にPOPs条約で制限指定されており、EU域内でもPOPs規則により10年以上前から使用制限が導入されている。また、パーフルオロオクタン酸(PFOA)も同様に、2017年にPOPs条約で制限指定され、EU域内では2020年7月4日から使用が制限された。その後も、使用閾値の引上げ等の政策も動いている。

 さらに2022年6月には、POPs条約締約国は、PFHxSを制限指定することで合意。同措置は2023年末に発効する予定。長鎖ペルフルオロカルボン酸(C9-21 PFCAs)もPOPs条約加盟国の間で制限指定が検討されている。

【参考】【国際】残留性有機汚染物条約の専門家委員会、ジコホルを規制対象物質に指定勧告(2017年11月2日)

 一方、今回の規制提案は、REACH規則に基づき、幅広いPFASを一斉に規制対象下におこうとするもの。ドイツ、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの5ヶ国当局は、2019年12月のEU理事会で問題提起し、2023年1月にECHAに提出していた。PFASは非常に種類が多いため、2014年からは個別ではなく、物質グループに集約した評価作業を導入していたが、それでも数が多く、優先順位をつけた評価作業が行われている。そこで、今回の提案は、物質グループではなく、PFAS全体に関する評価アプローチを提案している。

 今後の流れでは、まず、ECHAのリスクアセスメント科学委員会(RAC)と社会経済分析科学委員会(SEAC)は、2023年3月の会合で、同提案がREACHの法的要件を満たしているかどうかを確認する。合致している場合、各委員会は提案の科学的評価を開始する。3月22日から6ヶ月間のパブリックコメント募集も行われる。

 評価作業では、RACが、人の健康や環境に対するリスクの観点から、SEACは社会経済的影響の観点から評価を行う。最終的に勧告内容をまとめ、欧州委員会に提出。最終的に、欧州委員会はEU加盟国と協議しながら、制限の是非を最終決定する。

 また、ECHAは、今回の提案とは別途、2022年1月に消火用泡沫に使用されるPFASの制限案を発表しており、科学委員会は、2023年6月に同案の評価を最終決定する予定。飲料水へのPFAS制限では、別途、2021年1月に発効した飲料水指令により、0.5µg/lに制限されている。その際もPFAS全体の評価アプローチが採用された。

【参考】【EU】欧州議会とEU理事会、飲料水指令改正で暫定合意。マイクロプラスチックや内分泌攪乱物質等考慮(2019年12月24日)

【参照ページ】ECHA publishes PFAS restriction proposal
【参照ページ】Per- and polyfluoroalkyl substances (PFASs)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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