EU理事会は5月16日、暗号資産市場(MiCA)規則案を採択。すでに4月に欧州議会を通過しており、同規則が成立した。暗号資産で包括的な法的枠組みが整備されたのはEUが世界初となった。2024年に施行される予定。
同規則は、資産参照型トークンや電子マネートークン、ユーティリティトークンを含む暗号資産、暗号資産サービスプロバイダー、取引プラットフォームに関する統一ルールを定めたもの。欧州委員会は、2020年9月24日にMiCA規則案を発表しており、2年半をかけて成立した。
同規則が施行されると、暗号資産の発行、交換、保管を行う事業者は、EU単一の認可を取得することを義務付けられる。また、暗号資産ホワイトペーパーの作成も義務付けられる。さらに、資産参照型トークンや電子マネートークンに関しては、暗号資産マーケティング・コミュニケーションの発行と、管轄当局への通知も義務付けられる。資産参照型トークンでは、認可された信用機関によって準備資産をカストディ保管することも義務化される。
欧州証券市場監督局(ESMA)は、欧州銀行監督局(EBA)と協力し、12ヶ月以内に規制上のテクニカル基準案を制定することも決まった。その中に、暗号資産における取引の検証に使用さ れる様々なタイプのコンセンサスメカニズム、そのインセンティブ構造、エネルギー、再生可能エネルギー、天然資源の使用、廃棄物の生成、温室効果ガス排出 についても考慮することが明記された。
さらにEU理事会は同日、マネーロンダリング防止規則を、暗号資産の譲渡にも適用拡大する規則改正も採択。こちらもすでに欧州議会を通過しており、改正が成立した。
加えてEU理事会は、暗号資産に対する課税に関する見解でも合意。2022年12月8日に欧州委員会が提出した「租税分野の行政協力に関する指令2011/16/EU(DAC8)を改正する理事会指令」に対する共通見解を決めた。これにより、EU加盟国間の租税に関する情報交換の対象に、暗号資産を含めることが決まった。同理事会指令の制定では、欧州議会は意見提出権しかなく、EU理事会の全会一致採択だけで立法手続きが完了した。
【参照ページ】Digital finance: Council adopts new rules on markets in crypto-assets (MiCA)
【参照ページ】Anti-money laundering: Council adopts rules which will make crypto-asset transfers traceable
【参照ページ】Cooperation between national taxation authorities: Council puts the spotlight on crypto-assets and the wealthiest individuals
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