EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は11月17日、廃棄物の輸送に関する改正規則案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続きに入る。
両者は今回、廃棄物輸送の規制を、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、汚染ゼロの3つの目標を達成する施策として位置づけた。具体的には、廃棄物のEU域内輸送、第三国への輸出入、EU域内を経由した第三国間の輸出入の3つのフローを対象とした。基本的にEU域内で資源循環していく方針を柱に据えた。
EU域内での輸送では、書面事前通知と同意手続(PIC)の厳格な条件のもとで同意・認可された場合にのみ、EU域内での輸送が許可される。但し、回収を目的とした廃棄物のEU域内輸送は、「グリーンリスト廃棄物」に関する一般情報要件に従えば、原則として認められる。また、実験室での分析・実験にのみ使用される廃棄物は、250kgを超えなければ、輸送に関する免除規定が設けられる。
EU域外への輸出では、廃棄物を第三国で処分するためにEU域外に輸出することや、OECD非加盟国での回収を目的とした有害廃棄物の輸出は禁止される。EU域外に廃棄物を輸出する場合には、当該施設が環境的に健全な方法で廃棄物を処理していることを保証する第三者監査の取得が義務化される。
とりわけ、プラスチック廃棄物の第三国への輸出は厳格な規制が課される。まず、OECD非加盟国への非有害プラスチック廃棄物の輸出を禁止。OECD非加盟国が、規則発効後5年以内に、厳しい廃棄物管理基準を満たせば、EUのプラスチック廃棄物を輸入する意思があることを示す要請書を欧州委員会に提出できる制度の創設を検討する。検討の中で有効と判断されれば、欧州委員会は委託法令の形で、輸出を許可できる道を設ける。
プラスチック廃棄物のOECD加盟国への輸出に関しては、書面事前通知と同意手続(PIC)を要件として認める。EUは、プラスチック廃棄物の環境や人体への悪影響や、当該国での廃棄物の適正管理に関して厳しくモニタリングしていく。
PICを取得する事業者は、発送国、仕向国、通過国に通知し、書面による確認を受けることが義務化される。書面内容は、欧州委員会が運営する中央電子システムを通じて受け付けるされる。
同協定の執行では、各EU加盟国が違反時の罰則に関する規定を設ける。罰則では、実効性、比例性、説得力のある罰則を設けることを義務化。内容には、罰金、廃棄物管理および輸送に関する認可の取消または一時停止が含まれる。
【参照ページ】Waste shipments: Council and Parliament reach agreement on more efficient and updated rules
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