2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」は12月、不動産セクター向け融資のファイナンスド・エミッションに関し、気候変動目標設定に関するホワイトペーパーを発行した。
今回の文書は、不動産セクターへの融資で対象とすべき排出量の範囲や、目標設定水準の考え方を整理した。負債カバー率(LTV)とEVIC(Enterprise Value Including Cash)の2つの手法のいずれかで割当てることが一般的とした。
同文書の対象となるローン分野は、商業用不動産では、資産担保証券等も含めた融資や、無担保融資、不動産運用でのコーポレートローン、開発ローンや改修ローン等が含まれると説明。住宅不動産では一般的に不動産ローンが対象になるとした。
また排出量算定の対象については、不動産セクターでの排出量には、不動産運用・使用フェーズでの「オペレーショナル・エミッション」と、不動産建設や建材生産フェーズでの「エンボディド・エミッション」の双方があると言明。エンボディド・エミッションについては、現段階ではデータ入手が容易ではなく、多くの銀行が対象にできていないものの、将来的には含めていくことが望ましいとした。
排出量の算定・開示では、総量と面積当たりの原単位排出量の2種類があり、商業不動産と住宅不動産は分けて開示することが望ましいとした。融資ポートフォリオでの排出量の換算では、ローンと
削減量のベンチマークでは、世界平均での排出量水準にまで下げていくアプローチ(コンバージェンス・アプローチ)、世界平均で求められる排出削減率で削減していくアプローチ(コントラクション・アプローチ)、総量での世界の排出量削減率を考慮した上で個別事情に合わせ独自に削減率を設定するアプローチ(フェアシェア・アプローチ)」の3つを紹介した。
【参照ページ】Climate Target Setting for Real Estate Sector Financing
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