
北太平洋漁業委員会(NPFC)の第8回年次会合が4月15日から18日まで大阪市で開催された。ハワイ列島の北西からカムチャッカ半島に向かって続く海山群「天皇海山海域」でのトロール漁禁止も議題となったが、日本が反対し、継続審議となった。
日本では、北太平洋では、天皇海山海域でトロール漁(底曳網漁)や底刺し網漁業を行っている。対象魚種はクサカリツボダイやキンメダイ。公海での深海底トロール漁に関しては、2006年に国連総会決議が採択され、漁業管理の強化で合意。これに基づき、2012年に「北太平洋漁業資源保存条約」が採択され、2015年に発効。同条約に基づく北太平洋漁業委員会(NPFC)は、天皇海山水域の底魚類の他、サンマ、サバ類等の資源管理を行っている。現在の加盟国・地域は、日本、中国、台湾、韓国、バヌアツ、ロシア、アメリカ、カナダ、EU。
今回の年次会合では、米国とカナダが、天皇海山の種、生態系、生物多様性に関する科学的理解に関係国の間で大きな隔たりがあり、科学的な評価が完了するまで、天皇海山海域でのトロール漁を禁止するよう提案した。しかし日本が反対し、継続審議となった。但し、禁漁期間の拡大等では合意した。
日本トロール底魚協会は、日本漁船は、同海域の自主的な資源管理として、全ての漁船に科学オブザーバーを乗船させて資源管理に繋がる情報収集をしているほか、漁獲努力量を2割削減するため、産卵期とされる11月、12月を係船休漁する等、さまざまな努力を重ねていると説明している。
その他、同年次総会では、サンマに関し、2024年の公海における漁獲可能量(TAC)を、2023年の年次会合で合意した15万tから13.5万tに削減することで合意。分布域全体の年間漁獲量は、同25万tから22.5万t以内に削減されることとなった。サンマの水揚量は、2014年頃までは概ね年間20万t以上あったが、2015年以降大幅に減り、2019年は40,517t、2020年は29,566t、2021年は18,291t、2022年は17,910t、2023年は24,433tとかつての10分の1程度にとなっている。
マサバに関しても、公海におけるマサバの漁獲量を10万t(うちまき網8万t、トロール2万t)に制限する措置でも合意した。マサバの水揚量も大幅に減少してきている。
【参照ページ】「北太平洋漁業委員会(NPFC)第8回年次会合」の結果について
【参照ページ】天皇海山海域(てんのうかいざんかいいき・北西太平洋)
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