
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は5月7日、女性に対する暴力および家庭内暴力に関する初のEU指令案を可決した。同EU指令案はすでに欧州議会を通過しており、同指令が成立した。EU加盟国は3年以内に同指令を国内法化する義務を負う。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、女性に対する暴力を刑罰化するEU指令制定へ。EU統一ルール(2024年2月8日)
同法では、刑事犯罪を新たに創設。女性器切除、強制結婚、親密な画像の非同意的共有、サイバーストーカー行為、サイバーハラスメント、憎悪や暴力のサイバー扇動を刑事犯罪とし、EU加盟国が規定すべき最低限の罰則として、1年以上5年未満の懲役を定めた。さらに、女性に対する暴力の反復的行使、社会的弱者や子供に対する暴力行為、極端なレベルの暴力の行使等に関しても、加重事由を導入する。
それ以外にも、各加盟国に対し、予防するための義務も設定する。まず、犯罪の被害者が司法にアクセスすることを容易にし、加盟国に適切なレベルの専門的な保護と支援を提供することを義務づける。オンライン通報を含め、アクセスしやすく使いやすいチャンネルを通じて通報できるようにし、少なくともサイバー犯罪についてはオンラインで証拠を提出できるようにしなければならない。子供が被害者の場合は、訓練を受けた専門家による支援も確保しなければならない。暴力行為に親権者が関与している場合には、当該人物の同意を条件として通報してはならない。
性的暴力や家庭内暴力の被害者が初めて当局と接触する際には、加害者や容疑者がもたらすリスクを評価しなければならない。これに基づき、当局は適切な保護措置を提供する必要がある。これには、緊急出入禁止、接近禁止命令、保護命令が含まれる。
被害者のプライバシーと補償に関しては、明確に権利として確立。加盟国は、被害者の過去の性行為に関連する証拠が、関連性があり必要な場合にのみ刑事訴訟手続において認められるようにしなければならない。被害者はまた、適切な場合には、刑事手続の中で補償を得ることができるようにすべきとの方向性も盛り込んだ。
EU加盟国はさらに、暴力の被害者が24時間365日、無料で利用できる電話相談窓口を設けることも義務付けられる。レイプ・クライシス・センター等の専門的支援サービスを被害者が利用できるようにもしなければならない。
【参照ページ】Council adopts first-ever EU law combating violence against women
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