
インド政府のアジェイ・クマール・スード主席科学顧問(PSA)は8月21日、インドでのトラックのゼロエミッション化を実現するための政策諮問文書を発表した。カーボンニュートラルとエネルギー安全保障の双方の観点から、インド政府が採用すべき政策についての科学的見地をまとめた。
今回の発表の諮問文書は、PSA事務局によって構成された政策諮問パネル(PAP)での検討成果。PAPには、PSA事務局、インド自動車研究会、アショク・レイランド、タタ。モーターズ、TecSo ChargeZone、国営発電公社NTPC、世界資源研究所(WRI)インド支部、IITムンバイ、IITマドラス、世界銀行から委員が選定。また当日発表イベントには、重工業省、インド政府シンクタンクNITI Aayogも出席した。
インド政府は2021年、2070年までのカーボンニュートラルを宣言。その一環で、インドの物流の71%を占めるトラックのEV化についても検討している。今回の諮問文書では、5つの主要分野で30の政策介入の方向性を提示した。提言内容の範囲は各省庁やインド準備銀行にまで及んでいる。
【参考】【国際】ブラジル、CO2を2030年に50%減。インド、2070年カーボンニュートラル宣言(2021年11月2日)
同文書は、まず、NITI Aayogの研究調査に基づき、EVトラックや燃料電池トラックを含むゼロ・エミッション・トラック(ZET)の普及により、2070年までにディーゼル燃料を8,380億L削減できる可能性があることを紹介。その上で、主要介入分野として「インセンティブ・スキーム」「規制」「インフラ整備」「資金調達」「ステークホルダーの認識向上」の5つを特定した。
インセンティブでは、EUや中国等を参考に、政府から販売奨励金を提供していく案を盛り込んだ。また米国の一部自治体で採用されている「アーリー・アダプター・パイロット・プログラム」も掲げ、先行実施する企業を促進し、本格導入に向けた課題を浮き彫りにしていくことも提言している。公共機関が購入需要を集約して発信することで、需要シグナルを強力にメーカー側に伝えられることも挙げた。
ステークホルダーの認識向上では、インドの物流の大半は、所有台数5台以下の小規模事業者で構成されていることに鑑み、中小企業の信用力やボトルネックを踏まえた制度設計を行っていくことも重要とした。
【参照ページ】Launch of “Bharat Zero Emission Trucking (ZET) Policy Advisory” document
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