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【EU】GHG排出量、2005年比47%減達成。再エネ発電量比率50%。欧州委年次報告

 欧州委員会は9月11日、EUのエネルギー政策目標で進捗状況の年次評価報告書「State of the Energy Union」の2024年版を発行した。欧州委員会は、2015年の「エネルギー連合戦略」発表後、毎年年次評価報告書を発行している。

 エネルギー連合戦略では、カーボンニュートラル、エネルギー効率、エネルギー安全保障、域内エネルギー市場、研究・イノベーション・競争力の5つを重要観点と定めている。EUは2019年に「欧州グリーンディール」政策を発表し、2050年までのカーボンニュートラルを宣言。また2021年に欧州気候法を制定し、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比55%以上削減する法定目標を設定している。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、2023年には「REPowerEU」政策を発表し、再生可能エネルギー割合の目標を従来の40%から新たに45%に引き上げている。

 現在の進捗状況では、EU域内の温室効果ガス排出量は1990年比で32.5%減、2005年比で47%減を達成、同期間のEU経済は約67%成長となった。経済成長と温室効果ガス排出量削減を切り離す「絶対的デカップリング」を実現し、2030年までに2005年比62%削減目標の達成に向けて順調と成果を強調した。2024年上半期には、EUの発電量のうち50%が再生可能エネルギーとなった。

 電力、ガス価格は、現在も高止まりしているものの、2022年のピーク時に比べて大幅に減少。ガス需要に関しては、2022年8月から2024年5月までに18%削減し、大幅にガス利用量を削減した。

(出所)欧州委員会

 REPowerEU政策による制裁措置によりロシア産のパイプライン及びLNGの輸入量は、2021年にはEU全体のガス輸入量の45%から2024年8月には18%にまで減少。ノルウェーと米国からの輸入が増加し、ノルウェーはEU全体のガス輸入量の34%、米国は18%にまで増加した。REPowerEUの目標達成により、2030年までに350万人以上の雇用が創出される見込み。

 再生可能エネルギーの導入では、2023年には風力発電設備容量が新たに16GW設置。風力発電の発電量はEUで初めてガス火力発電を上回り、原子力発電に次ぐ第2位に上昇した。太陽光発電の新規設備容量は、2023年単年で56GWとなり、前年の40GWを大きく上回った。

(出所)欧州委員会

 雇用影響では、クリーンエネルギーへの移行は安全で競争力のある安価なエネルギーを確保、EU域内の産業と質の高い雇用の維持につながり、欧州の経済安全保障の鍵となると主張。ネットゼロに関する市場は2030年までに3倍に拡大し、年間約6,000億ユーロ(約103兆円)に達する見込み。

 同報告書では、エネルギー、EU二酸化炭素排出量取引制度(EU-ETS)、土地利用、交通、税制等で、「Fit for 55」政策で立案された主要なEU法が全て成立したことを報告。2023年4月には、EU-ETS対象セクターでは、温室効果ガス排出量を2030年までに2005年比62%削減することを法定化。新たに海運がEU-ETSの対象セクターとなった。

【参考】【EU】EU-ETS改革と炭素国境調整メカニズム(CBAM)の関連法成立。CBAMは2026年から(2023年4月27日)

 EUでは、2024年7月、欧州委員会委員長にウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が再任。カーボンニュートラル化と産業成長を推進するための新たなクリーン産業ディール政策、イノベーションを促進するための欧州競争力基金等の主要政策を発表している。

 気候変動適応のための農業計画や、女性の権利に関するロードマップも提案。若年層のウェルビーイングに向け、エラスムス+プログラム、メンタルヘルス・依存症を含むスクリーンタイムやSNSに関する問題への対策も強調した。

【参考】【EU】欧州議会、フォン・デア・ライエン欧州委員長を再任。欧州議会議長も現職再任(2024年7月19日)

【参照ページ】State of the Energy Union Report 2024 【参照ページ】Factsheet on the State of the Energy Union Report 2024 【参照ページ】Remarks by Commissioner Simson at the press conference on the State of the Energy Union Report 2024

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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