
米国石油協会(API)は11月12日、次期トランプ政権に向け、米国のエネルギー・リーダーシップを確保し、インフレを抑えるための新たな政策ロードマップを発表した。消費者保護、地政学的強さの強化、国家資源の活用、許認可制度の改革、良識ある税制の推進の項目の提言「5ポイント・政策ロードマップ」を伝えた。
「消費者保護」では、米環境保護庁(EPA)が設定した2027年から2032年の新車モデルに適用する新たな排ガス基準の撤廃と、米道路交通安全局の企業平均燃費(CAFE)基準の廃止を要請。さらに、EPAがカリフォルニア州の先進クリーンカーII(ACC II)規則に対し発出した免除規定の拒否及び撤回を要請し、ACCIIの廃止に向けてEPAがアクションを採るよう求めた。
【参考】【アメリカ】EPA、2027-2032排ガス基準最終決定。2032年にEV比率30%から56%想定(2024年3月21日)
【参考】【アメリカ】EPA、大型車の2027-2032排ガス基準最終決定。2031年以降に大幅削減(2024年4月1日)
【参考】【アメリカ】カリフォルニア州、2035年ディーゼル・ガソリン新車販売禁止規則を制定(2022年8月26日)
「地政学的強さの強化」では、エネルギー省の液化天然ガス(LNG)許可の一時停止措置を解除し、現在同省で滞留しているすべての輸出申請を速やかに処理するよう求めた。また米国のエネルギーが世界市場に開放されるようにすることも求めた。
「国家資源の活用」では、海洋エネルギー管理局(BOEM)の5年間の海洋リースプログラムを新たに発行することや、土地管理局(BLM)の保全と景観の健全性に関する規則を始め、制限的な陸上リース規則を廃止するよう求めた。またEPAのメタン課金は、法を曲解し、米国に石油及びガスの生産コストを増加させているだけだとし、廃止を求めた。
【参考】【アメリカ】政府、石油ガス鉱区リース再開も規模大幅縮小。一方、再エネ開発でリース強化(2022年5月3日)
【参考】【アメリカ】内務省、石油・ガス採掘リース入札再開。地裁判決の結果。連邦vs州の法廷闘争へ(2021年9月2日)
「許認可制度の改革」では、国家環境保護法(NEPA)の改善及びバイデン政権時代の規則の廃止、水質浄化法の改善、司法改革を求めた。
【参考】【アメリカ】内務省、アラスカ州北極圏国立野生生物保護区での石油・ガス開発契約を全面停止(2021年6月3日)
【参考】【アメリカ】EPA、石炭・ガス火力発電で2032年までに排出源単位90%減義務化。CCSに期待(2024年4月30日)
「良識ある税制の推進」では、21%の法人税率を維持するとともに、「国内インフラ投資のための税制規定を維持・延長」「重要な国際税制を維持」を求めた。この内容では、バイデン政権時代のインフラ投資雇用法やインフレ抑制(IRA)に基づく補助金税制については継続を求めたとみられる。
エクソンモービルのダレン・ウッズCEOも11月12日、次期トランプ政権が計画しているパリ協定からの離脱について「政権が変わるたびに振り子が行ったり来たりするのは、企業にとって有益ではない」と述べ、離脱しないよう求めた。ウッズCEOとトランプ氏の関係は必ずしも良好ではなく、トランプ次期大統領は、独立系のシェールガス、シェールオイル企業を重視する政策をとるのではないかという見方もある。
【参照ページ】API Releases New Policy Roadmap for Incoming Administration and Next Congress to Secure American Energy Leadership and Help Reduce Inflation
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