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【アメリカ】政府、石油ガス鉱区リース再開も規模大幅縮小。一方、再エネ開発でリース強化

 米内務省土地利用局(BLM)は4月15日、石油・ガス開発での連邦政府公有地リース制度を改正する方針を示した。2021年のバイデン政権後凍結していた土地のリース販売を再開するとともに、開発事業者へのリース費用を大幅に引き上げた。

 バイデン大統領は、就任日の2020年1月20日、大統領令13990「気候危機に取り組むための公衆衛生と環境の保護、科学の回復に関する大統領令」に署名し、連邦政府機関に対し石油・ガスのリース契約販売を凍結。しかし、不服のルイジアナ州政府が同州連邦地方裁判所に提訴し、ルイジアナ州側が2021年6月、仮差止命令を出していた。

【参考】【アメリカ】内務省、アラスカ州北極圏国立野生生物保護区での石油・ガス開発契約を全面停止(2021年6月3日)

 これを受け内務省は同11月、石油・ガスリースプログラムに関する報告書を発表。リース公募再開の前提を3つ示した。まず、リース契約からの米国市民や州市民への財務リターンの向上。2つ目は、開発に適した地域の優先順位付けと、環境・気候変動面を含む法規制を遵守するための事業者の技術及び財務のキャパシティの確保。3つ目が、リースに際し市民と先住民コミュニティとの透明で包括的で公正な協議の実施。また、包括的な方針として、石油・ガスの期待生産量、米国納税者への公正なリターンの見込み、野外レクリエーションや野生生物の生息地等の他の利用との競合の観点から、リースする土地を慎重に検討すべきとした。

 BLMが今回打ち出した方針は、同報告書の内容を受けてのもの。まず、今回の発表では、アラバマ州、コロラド州、モンタナ州、ネバダ州、ニューメキシコ州、ノースダコタ州、オクラホマ州、ユタ州、ワイオミング州で、173鉱区、合計約144,00の土地をリース販売することを決定した。但し、事前にエネルギー企業によって候補地申請されていた鉱区は、646区画、合計約733,000エーカーであり、約20%のみがリースされることとなった。

 今回選定された鉱区は、既存の開発鉱区やインフラ設備に近い場所に集中しており、自然環境の破壊を極力抑えた形となっている。今回の選定では、二酸化炭素排出量とそれに関連する社会コストの試算も開示している。だが、環境NGOからは、石油・ガスの新規鉱区設定には反発の声も上がっている。

 また今回の発表では、事業者から連邦政府に支払うリース料率を、12.5%から18.75%に大幅に引き上げる。リース料率は1920年に施行された鉱物リース法以来、102年ぶりの改定となる。これにより、エネルギー事業者の利益率は下がる。

 バイデン政権は、今回のリース再開を、共和党の反対で無期限停止しているBuild Back Better法案審議の再開交渉材料に使う考えとみられている。

 内務省は、発表後は、再生可能エネルギー関連の政策も相次いで発表している。4月20日には、2023年末までに再生可能エネルギー電源開発で合計約10GWの支援を表明。2024年にはさらに拡大する計画。これは、2025年までに連邦政府公有地で太陽光発電、風力発電、地熱発電を25GW分確保するというバイデン政権の政策を反映させたもの。さらに、生態系を考慮し、西部11州にまたがる送配電網の改善プログラム「全西部エネルギー回廊」も発表し、生態系保護、再生可能エネルギー増産、高収入雇用創出へとつなげる計画も披露した。公有地での太陽光発電及び風雨力発電のプロジェクト審査では、技術・経済面のフィージビリティ、自然・文化資源との両立を確保できるプロジェクトには早期決定するルール改正も伝えた。

 4月27日には、同省海洋エネルギー管理局(BOEM)が、洋上風力発電でオレゴン州沖と中部大西洋で合計2件の海域リース公募を発表。バイデン政権は、2030年までに洋上風力発電約30GWの新設を政策として掲げている。2021年にはすでに2件発表しており、2025年までに合計最大7件の海域リース販売が見通されている。

 4月28日には、「全西部エネルギー回廊」プログラムの具体策として、3つの送電プロジェクトの重要マイルストーンを公表した。具体的には、ニューメキシコ州とアリゾナ州をまたぐ「サンジア南西送電プロジェクト」、ネバダ州の北部と南部をつなぐ「グリーンリンク・ウエスト送電プロジェクト」、ユタ州中部とネバダ州中東部をつなぐ「クロスタイ500kV送電プロジェクト」。今回、環境アセスメントの原案を示し、パブリックコメント募集に入る。

【参照ページ】Interior Department Announces Significantly Reformed Onshore Oil and Gas Lease Sales
【参照ページ】REPORT ON THE FEDERAL OIL AND GAS LEASING PROGRAM
【参照ページ】Interior Department Outlines Roadmap for Continued Renewable Energy Progress on Public Lands
【参照ページ】Biden-Harris Administration Advances Offshore Wind Energy Leasing on Atlantic and Pacific Coasts
【参照ページ】Biden-Harris Administration Advances Three Transmission Projects to Connect More Clean Energy to the Grid

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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