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【アメリカ】EPA、石炭・ガス火力発電で2032年までに排出源単位90%減義務化。CCSに期待

 米環境保護庁(EPA)は4月25日、化石燃料火力発電に対する環境汚染規制の最終ルールを発表した。大気浄化法、水質浄化法、資源保全回収法等の各法律に基づく4つの規制をワンパッケージでまとめた。

 同ルールの柱は5つ。

  • ベースロード電源となる既存の石炭火力発電所と新規の天然ガス火力発電所に対し、2032年1月1日までに温室効果ガス原単位排出量を90%削減する
  • 褐炭火力発電所の水銀排出規制値を70%削減し、すべての石炭火力発電所の有害金属排出規制値を67%削減する
  • 石炭火力発電所からの廃水を通じて排出される汚染物質を年間6億6,000万ポンド以上削減する
  • 石炭灰の漏水地下水汚染を防ぐため安全管理義務を強化する
  • 地域社会の健康被害を軽減しつつ、消費者に信頼性の多角安価な電力を供給する。

 温室効果ガス原単位排出量削減では、稼働率を基準に、稼働率40%以上の「ベースロード電源」、稼働率20%から405の「中間負荷電源」、稼働率20%未満の「低負荷電源」に分類。ベースロード電源に対し、2032年1月1日を遵守期限とする原単位排出量90%削減ルールが課される。中間負荷電源と低負荷電源にも別途基準が設定される。

 既存の石炭火力発電については、廃止時期に応じて規制が変わる。2039年1月1日以降も稼動を予定する発電所は、2032年1月1日までに炭素回収・貯留(CCS)で90%以上回収することが義務化。2039年1月1日までに廃止される発電所は、2030年1月1日までに40%の天然ガス混焼に基づく排出制限が課される。2032年1月1日までに廃止される発電所には追加規制をかけない。

 温室効果ガス排出削減については、各州政府が2年以内に計画を策定し、EPAに提出する。州政府は計画策定プロセスで、地域社会、エネルギー業界、労働者、中小企業等と協議しなければならない。但し、EPAは各州政府に対し、発電所の残存耐用年数等の要素を考慮し、柔軟に対応する権限が認められている。特に、非常宣言発令時の基準逸脱や、事前協議した上での基準逸脱という「信頼性保証制度」も今回用意した。

 電気料金への影響では、インフラ投資雇用法及びインフレ抑制法(IRA)によるCCS技術開発の加速で、CCSコストは今後大幅に低減していくと見通している。そのため、小売電気料金への影響は1%未満に収まると予測した。雇用への影響では、州政府の計画策定に労働者を早くから巻き込む施策をもって「環境正義」と呼称した。

 汚染物質の削減では、2028年には水銀1,000ポンド、非水銀有害大気汚染物質(HAP)金属7t、PM2.5が770t、窒素加工物(NOx)280tの削減につながると評価。2028年から2037年までの10年間で、健康ベネフィット3億米ドルの気候ベネフィット1億3,000万米ドルの効果を見込んだ。 

【参照ページ】Biden-Harris Administration Finalizes Suite of Standards to Reduce Pollution from Fossil Fuel-Fired Power Plants

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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