米内務省は8月31日、バイデン大統領が1月に署名した大統領令14008の208条に基づき停止していた連邦政府管轄の陸地及び海域での石油・ガス採掘リース入札プログラムを再開した。第1弾としてメキシコ湾のリース案件の決定通知を連邦政府官報に掲載した。
今回の措置は、バイデン大統領のリース入札停止政策を不服とするルイジアナ州政府が連邦地方裁判所に提訴し、6月に同大統領令の仮差止めを命じたことに伴うもの。仮処分命令を受け、8月24日に司法省は、内務省の方針転換の内容を同裁判所に提出していた。バイデン政権は、地裁の仮処分命令を不服とし控訴。今回発動の再開措置は、法廷闘争中の暫定措置とみられる。
司法省が同裁判所に提出した内容は、まず、内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)が、メキシコ湾のリース案件257の決定通知を8月末までに連邦政府官報に掲載することを約束し、今回正式に実行した。リース入札は、決定通知の30日後以降に実施するルールとなっており、入札通知は9月末に発行される予定。リース257では、原油生産規模が日量最大11億バレル、天然ガスが最大1,246億m3で、トランプ前政権のリース規模とほぼ同規模。
リース257は、トランプ前政権中に環境影響報告書の発表が終了しており、今回のリース入札決定でもバイデン政権は、前政権の報告書を修正するための重大な証拠はみつからなかったと表明。但し、気候変動に関する新たな分析の結果、修正する理由がみつかる可能性はあると含みもたせた。今回の決定について、環境NGO4団体は、環境影響報告書には欠陥があるとして、ワシントンDCの連邦地方裁判所に提訴した。
内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)は、また、同様に、アラスカ州南部クック湾でのリース案件258についても、環境影響評価書の原案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。案件258の入札に向けた手続きを再開したことを意味する。
さらに内務省土地管理局(BLM)の各州事務所は、2021年第1四半期および第2四半期のリース延期に含まれる区画を8月末までに掲載。30日間のスコーピング期間を経て、寄せられたコメントを考慮した上で、リース可能性がある区画の環境影響報告書の作成に入る。その後、各州事務所は、今年後半に掲載されるリース入札通知で、対象区画と適用規定を示す。バイデン政権は、環境影響報告書の作成を裁量の範囲内で目一杯時間をかけて行うことで、裁判の時間稼ぎを狙う。
【参照ページ】Interior Department Files Court Brief Outlining Next Steps in Leasing Program
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