
環境分野著名人22人は11月15日、アントニオ・グテーレス国連事務総長及びサイモン・スティル国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長に対し、国連気候変動枠組条約締約国会議改革を求める公開書簡を送付した。7つの具体的な改革事項を伝えた。
今回の共同書簡は、ローマクラブが主導。署名したのは、ポール・シュリバスタバ・ローマクラブ共同会長、潘基文・元国連事務総長、クリスティアナ・フィゲレス前UNFCCC事務局長、ヨハン・ロックストロームポツダム気候行動研究所所長、元EU気候行動担当欧州委員のコニー・ヘデゴーKR財団理事長、シャラン・バロウ、前国際労働組合総連合(ITUC)前事務総長、メアリー・ロビンソン元アイルランド大統領等。
同書簡の送付は、2023年2月に続いて2回目。国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)にあわせ、改めて内容を伝えた形。同書簡では、パリ協定の制定や、その後のCOPでの進捗状況を評価しつつも、現在の枠組みでは、人類の安全な気候変動への着地を確保するために不可欠な、指数関数的なスピードと規模での変化を実現することはできないと指摘。COPで合意された約束を実現し、緊急のエネルギー転換と化石エネル ギーの段階的廃止を確保できるようにする必要があると表明した。
具体的には、
- COP議長国の選考プロセス改革:化石エネルギーからの脱却・移行を支持しない国を排除する厳格な資格基準が必要。
- スピードと規模のための合理化:資金、技術、衡平性に関する重要な解決策を議論する小規模で頻度の高い問題解決型の会合へ転換。
- 実践と説明責任の改善:各国政府の報告とベンチマークの強化、厳格なピアレビュー・プロセス、独立した科学的監督、コミットメントと行動の透明性のあるトラッキング制度の導入。
- 気候変動資金の確実なトラッキング:気候変動資金の適格性の明確化とトラッキング制度の導入(発展途上国政府への有利子負債の割合が増えている状況を懸念)。
- 権威ある科学の声を増幅:COPに常設科学諮問機関を創設(現在の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や、科学技術諮問補助機関(SBSTA) 等の関連科学組織は、正式な常設科学諮問機関とは位置づけられておらず、生物多様性条約には常設科学諮問機関がある)。
- 貧困、不平等、地球の不安定性の相互依存を認識:気候・貧困政策特使の設置(生態系の変化と平等、正義、貧困緩和の双方を重視した政策議論が必要)。
- 衡平な代表の強化:COPの入場パス発行での透明性と情報開示のルールの強化(COP28では過去最多の2,456名の化石燃料ロビイストにアクセスを認められ、COP27の約4倍となった)。
COPの枠組みを大きく変えるには、再びUNFCCC加盟国での条約改正交渉が必要となる。
【参照ページ】Open Letter on COP reform to All States that are Parties to the Convention
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