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【国際】G20リオ首脳宣言、不平等が諸課題の根源。飢餓と貧困に対抗するグローバルアライアンス発足

 G20は11月18日と19日、ブラジルのリオデジャネイロで首脳会議(サミット)を開催。リオデジャネイロ首脳宣言を採択した。

 同首脳宣言では、冒頭で「地政学的、社会経済的、気候・環境的な課題や危機の時代に生きており、緊急の行動を必要としている」とし、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成まであと6年しかない中、目標のうち順調に進んでいるのはわずか17%に過ぎないことに言及した。

 さらに、これらの構造の根源について、「国家内および国家間の不平等が、我々が直面しているほとんどのグローバルな課題の根底にあり、またそれによって悪化していることを認識している」とし、不平等の解決なくして、SDGsの達成はできないとの見方を示した。

 現状課題については、「生活費圧迫」に焦点を当て、世界的なインフレ率が高水準から低下していつつも、中央銀行が物価の安定を達成することに引き続き強くコミットするとした。財政政策としては、経済成長が世界的に鈍化していると認識し、財政再建を図りつつ、生産性を高める改革に向けた公共投資と民間投資を促進するとした。

 食料については、世界は、飢餓を撲滅するのに十分な量の食糧を生産しているものの、食糧へのアクセスに課題を抱えており、解決には政治的意志が必要とした。そこで、G20議長国ブラジルは7月に「飢餓と貧困に対抗するグローバルアライアンス」を発足。今回の首脳宣言でも同アライアンスの発足を歓迎した。

 同アライアンスには現在、G20諸国を含む82カ国とEU及びアフリカ連合(AU)が加盟。また24の国際機関、9の国際開発金融機関、31の財団・NGOが加盟している。同アライアンスは、目標として、2030年までに世界5億人の所得改善、飢餓率の高い国で1.5億人に給食提供、国際開発金融機関での貧困対策プログラムに数十億米ドルの資金を動員の3つを掲げた。

 また、2023年のインドでのG20農相会合で採択された「食料安全保障及び栄養に関するデカンハイレベル原則2023」を再確認し、食料安全保障と栄養の重要性、適切な食料を得る権利の漸進的な実現に対するG20のコミットメントを強調した。その中で、農業生産性の持続的な向上と食品ロスと食品廃棄物の削減、土壌の健全性向上、水質汚染の最小化、現地生産や貿易の強化、肥料効率の向上、バイオ肥料の活用等を目指すとした。

 税制については、租税主権を十分に尊重し、超富裕層への課税確保で一致。ベストプラクティスの交換、租税原則に関する議論の奨励、潜在的に有害な租税慣行への対処を含む租税回避防止メカニズムの考案等を協力分野として挙げた。また効果的な累進課税に活路を見出した。

 ヘルスケア分野では、世界保健機構(WHO)が中心的な役割を担っていることを再確認し、WHOの活動に対する資金調達のための追加的な措置として、WHO投資 ラウンドの実施を支持。今後1年から2年で、必須保健サービスと保健システムをパンデミック以前のレベルよりも改善することに焦点を当て、メンタルヘルスを含む統合された人間中心の保健サービスの提供のため、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成することに引き続きコミットするとした。ワクチン、治療薬、診断薬等のアクセス確保も重要テーマに据えた。

 水・衛生分野では、安全な飲料水と衛生へのアクセスが、健康と栄養の前提条件であり、持続可能な開発の成果にとって極めて重要であると認識。持続可能でレジリエントな水・衛生システムを構築するために資源を動員することが不可欠とした。その上で、7月のG20開発相会合で採択された「飲料水と衛生サービスの強化に関するG20行動要請」を歓迎した。

 デジタル分野では、デジタル・インクルージョンには普遍的で有意義なコネクティビティが必要であり、プライバシー、個人データ、人権、基本的自由を保護しつつ、人々の生活を向上させるためにデジタル・ガバメント・ソリューションが鍵となることと認識。一方、情報領域のデジタル化とAI等の加速度的な技術進化により、誤情報や偽情報、ヘイトスピーチ、その他の形態のオンライン上の危害のスピード、規模、範囲に劇的な影響を与えていることも強調。関連する政策と適用される法的枠組みに沿ったデジタル・ プラットフォームの透明性と責任の必要性を強調し、プラットフォームおよび関連するステークホルダーと協力することで一致した。

 気候変動に関しては、1.5℃の気温上昇では、2℃の気温上昇に比べて気候変動の影響がはるかに小さくなることを強調し、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求する決意を改めて表明。持続可能な開発の優先事項や、貧困・飢餓を撲滅するための努力との相乗効果を図りながら、気候変動対策を加速・拡大させることを視野に入れ、各国経済や国際金融システムにおいて、大胆かつ時宜を得た構造的な行動を主導することで一致した。また、2023年のG20ニューデリー首脳宣言で、あらゆる資金源からの気候変動資金を数十億米ドルから数兆米ドルへと迅速かつ大幅に拡大する必要性が認識されたことも再確認した。公正な移行(ジャスト・トランジション)や自然を軸としたソリューション(NbS)の重要性も強調した。

 同時並行で進められている国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)に関しては、「新規合同数値目標(NCQG)」交渉の成果を期待するという非表現にとどめた。

【参考】【国際】官民金融機関、個別資金ではなく「変革的ファイナンス」を政府に要請。COP29(2024年11月18日)

 生態系・生物多様性に関しては、森林が重要な生態系サービスを提供し、気候変動の吸収源として機能することを認識した上で、2030年までに森林減少と森林劣化の停止と再生に向けたアクションを強化することで一致した。

【参照ページ】In a historical declaration, G20 Leaders commit to taxing billionaires, tackling inequalities, and taking climate action 【参照ページ】World Leaders Launch the Global Alliance Against Hunger and Poverty 【画像】G20

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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