
証券監督者国際機構(IOSCO)は11月13日、気候変動に関する移行計画(トランジションプラン)の開示に関する報告書を公表した。投資家保護と市場の健全性の観点から移行計画開示が果たしうる役割を整理した。
今回の報告書は、IOSCOが2020年2月に創設した「サステナブルファイナンス・タスクフォース(STF)」がまとめたもの。まず、移行計画の開示制度において、情報の一貫性と比較可能性を重視。この点、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に対し、IFRSサステナビリティ関連財務情報開示基準と主要国の開示基準で相互運用性を高いレベルで維持できるようなルールブックの策定を奨励した。
同報告書は、関係者調査結果の結果浮かび上がってきた移行計画の重要要素について、スコープ1、2、3の削減目標と科学的根拠との整合性、短期・中期・長期のマイルストーンと中間目標、戦略や事業との統合に関する行動計画、カーボンクレジットの活用の有無、CAPEX、取締役会と経営陣の役割、進捗測定のためのKPI、財源と人的資本、財務的影響があるとした。
金融機関側での移行計画情報の活用については、機関投資家の投資判断、有価証券バリュエーション、信用リスク把握、保険引受、信用格付評価、サステナブルボンド商品設計、ファンド商品設計、金融機関自身の気候変動戦略・移行計画・報告での活用を挙げた。
現状の課題に関しては、「移行計画」の共通定義の欠如、金融機関を含めたグローバル規模の移行計画に特化した開示ガイダンスの欠如、移行計画開示内容の格差、セクターや法域の違いを考慮した枠組みや基準の欠如、開示情報の保証の欠如、将来見通し情報の開示にまつわる企業の不確実性等を挙げた。
IOSCOは、今後の検討課題として、ISSBに対し移行計画開示に関する追加ガイダンスの策定を要請。また、IAASBとIESBAが進めている保証の在り方の検討についても期待した。さらに、移行計画の開示が進むことで、グリーンウォッシュを抑制する効果を生むことにも期待。ESG投資戦略の進化も見込めるとした。同時に、監督当局のキャパシティビルディングも進めていく必要があるとした。
【参照ページ】IOSCO Publishes Report on Transition Plans Disclosures
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