
フランス政府は2月10日と11日、フランスのパリ市でAIアクション・サミットを開催した。フランスとインドが共同議長国となり、最後に「人と地球のためのインクルーシブ(包摂的)かつ持続可能なAI声明」を採択した。58カ国とEU及びアフリカ連合(AU)が署名した。
同会合は、英政府が2023年11月に開催した「AI安全性サミット」の場で、2024年前半に英国と韓国が共催でミニ・バーチャルサミットを開催し、2024年の本サミットをフランスで行うことを決定したことに伴うもの。実際の開催は2025年となった。同会合には、政府首脳だけでなく、国際機関、企業、アカデミア、NGO等も多数参加した。
【参考】【国際】英政府、ブレッチリー宣言発表。28ヶ国・地域署名。AI安全性での国際協調(2023年11月2日)
【参考】【国際】AIソウル・サミット、閣僚声明に28カ国署名。16社もAIリスク評価に自主コミット(2024年5月24日)
今回の声明では、「科学」「ソリューション(各国の枠組みに準拠したオープンなAIモデルに焦点を当てる)」「国際的な枠組みに沿った政策基準」の3つを標榜。フランス政府が2023年に開催した国際会議「新グローバル金融協定(New Global Financing Pact)」の場で発表された「Paris Pact for People and the Planet(4P)」の遵守、国連持続可能な開発目標(SDGs)の進展加速、デジタルデバイドの解消をAI原則として重視していくことを宣言した。
さらに同サミットの成果として、AIが人権に基づき、人間中心で、倫理的で、安全で、安心でき、信頼できるものであることを可能にするオープンでマルチステークホルダーかつインクルーシブなアプローチを打ち出すことや、不平等縮小と発展途上国のAI能力構築で合意したことも盛り込んでいる。
また主要な優先事項としては、国連総会決議、グローバル・デジタル・コンパクト、AI倫理に関するUNESCO勧告、アフリカ連合(AU)AI戦略、経済協力開発機構(OECD)のAI原則、欧州評議会のAI原則、EUのAI法、広島AIプロセス等を踏まえ、
- デジタルデバイドを是正するため、AIへのアクセシビリティを促進
- AIがオープンで、インクルーシブで、透明性があり、倫理的で、安全で、安心で、信頼できるものであるよう、全ての国際的枠組みを考慮
- AIが発展するための条件を整備し、産業回復と発展促進に向け、市場集中を回避し、AIにおけるイノベーションを繁栄
- 仕事と労働市場の未来を積極的に形成し、持続可能な成長の機会をもたらすAIの展開を奨励
- AIを人々と地球にとっての持続可能性を確保
- 国際ガバナンスにおける協調促進のため、国際協力を強化
同声明では、「Public Interest AI Platform and Incubator(公益AIプラットフォーム&インキュベーター)」を創設している。また2025年に開催が予定されているルワンダ開催のアフリカに関するグローバルAIサミット、タイとUNSECOが共催する第3回AI倫理グローバル・フォーラム、2025年世界AI会議、AI for Goodグローバル・サミット2025でも、同声明の進展を図ることでも合意した。
今回の声明に署名したのは、フランス、インド、日本、中国、韓国、ドイツ、カナダ、イタリア、EU、AU、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、ナイジェリア、シンガポール、インドネシア、タイ、カンボジア、アラブ首長国連邦(UAE)、チリ、スイス、ノルウェー、ルワンダ、カザフスタン等。
一方、米国と英国は署名しなかった。米国政府は理由を明らかにしていない。英国政府は同様の責任あるAI方針をすでに掲げており、今回の声明との協調を進めていく考えを示している。
AIの分野では、米政府効率化省ヘッドのイーロン・マスク氏が率いる投資家グループが、OpenAIを974億米ドル(約15兆円)で買収する提案を同社の理事会に提出。OpenAIが「かつてのオープンソースで安全性を重視した勢力」に戻し、非営利団体から営利企業になることを阻止する考えを示している。これに対し、OpenAIのサム・アルトマンCEOはX上で「No Thank you」と反発。逆に、ツイッター(現X)を97.4億米ドル(約1.5兆円)で買収しても構わないとマスク氏を挑発した。この投稿に対し、マスク氏は「Swindeler(ぺてん師)」とコメントしている。
【参照ページ】Statement on Inclusive and Sustainable Artificial Intelligence for People and the Planet
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