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本田技研工業と日産自動車は2月13日、2024年12月23日に締結した両社の経営統合に向けた検討に関する基本合意書を解約し、経営統合に関する協議・検討を終了したと発表した。両社の取締役会で正式決定した。
今回の発表では、経営統合の在り方について、基本合意書において前提としていた共同株式移転により本田技研工業が取締役の過半数と、代表取締役社長を指名する共同持株会社を設立し、両社をその完全子会社とする体制だけでなく、株式交換により本田技研工業を親会社、日産自動車を子会社とする体制へ変更することを本田技研工業側から提案する等、あらゆる選択肢について検討してきたことを明らかにした。
しかし、意思決定、経営施策実行のスピードを優先するには、経営統合の実行を見送ることが適切であると判断した。会見の中で本田技研工業の三部敏宏社長兼CEOは、経営のスピードを重視するため「ワンガバナンス体制の早期確立」にこだわったていたが、一部先行報道されていた日産のターンアラウンド計画に不満を持っていたや、株式交換比率について折り合わなかったという事実はないと否定した。今回の結果を「大変残念」と表現した。また、今後の敵対的TOBも否定し、一部報道されていた鴻海精密工業との協議があったことについてもそのような事実はないと否定した。今回の経営統合の議論に、日本政府の関与があった事実も一切ないと否定した。
日産自動車の内田誠社長兼CEOは、今回の協議解消について、本田技研工業の完全子会社となった場合に、自主性の確保や、日産自動車のポテンシャルを最大限の発揮に最後まで確信を持てなかったと話した。
日産自動車の内田誠社長兼CEOは、会見の中で、ターンアラウンド計画の進捗も発表した。同社は、自動車事業の損益分岐台数を310万台レベルから250万台レベルまで引き下げ、営業利益率4%を安定的に確保できる体制を構築するため、固定費と変動費を計4,000億円削減する計画を公表。人員削減も示した。
人員削減では、グローバルで間接従業員を2,500人削減しつつ、さらに1,000人分の業務をシェアードサービスセンターに追加で移管。車両組立工場とパワートレイン工場でも、2025年度に5,300人、2026年度に1,200人の計6,500人の人員削減を行う。生産能力は、2026年度までにグローバルで500万台から400万代に20%削減。これに伴い、中国ですでに実施している150万台から100万台への生産能力の削減の他、中国以外の工場でも、生産能力を350万台から300万台に削減する。
また、本田技研工業、日産自動車、三菱自動車工業の3社も2月13日、2024年12月23日に締結した3社協業形態の検討に関する覚書についても解約すると発表した。3社は今後、電気自動車(EV)や車載ソフトウェアの分野での戦略的パートナーシップのもとでの協働は継続する。
【参考】【日本】ホンダと日産、経営統合に向け協議開始。三菱自動車も合流視野。売上30兆円目指す(2024年12月25日)
【参考】【日本】日産・ホンダ連合に三菱自参画。EVや車載ソフトウェア協業。業界転換図る(2024年8月2日)
【参照ページ】日産自動車とHondaとの経営統合に向けた検討に関する基本合意書の解約について
【参照ページ】日産自動車、Hondaと三菱自動車 3社協業形態の検討に関する覚書の解約について
【参照ページ】日産自動車、ターンアラウンドの取り組みの進捗を発表
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