
国土交通省は4月7日、「気候変動に対応した港湾の施設の設計事例集」の公表した。同省は気候変動による海面上昇に備えるため、将来の海面上昇を考慮した防波堤、岸壁、護岸の設計を呼びかけている。
日本の港湾設計では、気候変動による海面上昇の影響は考慮されてこなかった。しかし、同省は、近年、高波や高潮等に伴う災害が激甚化・頻発化してきたことや、気候変動の顕在化やその将来予測に係る技術力が向上してきたことを踏まえ、2024年3月「港湾における気候変動適応策の実装方針」を策定。さらに同省港湾局は、同方針に基づき、2024年4月、気候変動の影響を考慮した設計法の実装に向けて、「港湾の施設の技術上の基準」を改訂。今後の港湾の施設設計においては、施設に作用する将来の外力変化をあらかじめ考慮すべきとした。
同方針では、将来の外力変化データとして気象庁が発行した報告書「日本の気候変動2020」に基づくデータを参照しており、そのため、同報告書のデータの基となっている気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(AR5)やIPCC海洋・雪氷圏特別報告書を考慮し、気温上昇が2℃未満に収まる「RCP2.6シナリオ」をベースとしている。
今回の事例集では、防波堤、岸壁、護岸の設計について、具体的に将来の気候変動を想定した設計手順や性能照査等について事例をまとめた。
同省の現行の方針では、「港湾における気候変動適応策の実装方針」では、IPCCのAR6のRCP2.6シナリオを用いることを定めているが、防災においては最悪シナリオを踏まえる必要があることを考えると、本来はIPCCが示す最悪シナリオ「RCP8.5」を用いるべきとも言える。さらに、IPCCは、すでに第6次評価報告書(AR6)を発表し、海面上昇の想定を引き上げている。同方針は、気候変動物理的リスクの想定シナリオとしては十分とは言えない。
同方針も、「今後のシナリオの変更の必要性については注視し続ける必要がある」と言及していることから、今後、想定の引上げを行うことも予想される。
【参照ページ】「気候変動に対応した港湾の施設の設計事例集」の公表
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