
国際エネルギー機関(IEA)は4月10日、エネルギーとAIに関する特別報告書「Energy and AI」を発表した。2030年時点でデータセンターの電力需要が重工業を超える見通し。
2024年におけるデータセンターの電力消費量は、世界の電力消費量の1.5%に相当する415TWh。米国が45%、中国が25%、欧州が15%を占めた。2030年までに約945TWhに倍増し、日本の全電力消費量を上回る水準に達すると予測。増加の最大の要因はAIであり、AI向けデータセンターからの電力需要は2030年までに4倍以上に増加する。
先進国全体では、データセンターが2030年までに電力需要増加の20%以上を牽引する。特に、米国ではその傾向が強く約半分を占める予測。2030年時点の米国の電力消費量は、アルミニウム、鉄鋼、セメント、化学品等を含むエネルギー集約型産業の製造に必要な電力よりも、データセンターでの電力消費量の方が多くなる。電力供給では、コスト競争力と主要市場での供給可能性の高さから、再生可能エネルギーと天然ガスが主導する見込み。
AIの普及によるエネルギー安全保障上の課題として、データセンター設備に使用される重要鉱物の需要拡大を挙げた。特に、データセンターのガリウム需要は2030年に現在の供給量の最大10%に達する可能性がある。世界のガリウム精錬のシェアの95%を中国が占めているため、供給網のリスクについて指摘した。
エネルギー安全保障の課題に対して悪影響を与える一方で、AIが解決する可能性がある課題であるサイバーセキュリティと温室効果ガス排出量についても言及。サイバーセキュリティでは、エネルギー事業者を標的としたサイバー攻撃は過去4年間で3倍に増加し、AIの活用により高度化しているが、AIはエネルギー企業がサイバーセキュリティを強化するための重要なツールになり得るとした。
データセンターからの温室効果ガス排出量は、電力需要の増加に伴い増加する見込み。しかし、AIによる同排出量の削減効果で相殺される可能性や、バッテリーや太陽光発電等のエネルギー技術を飛躍的に向上させる可能性も示唆。エネルギー部門全体での増加率は小さくできるとした。
同報告書では、AIの潜在的な恩恵を享受するためには、発電と送電網への新規投資を加速させ、データセンターの効率性と柔軟性を高める必要性を強調。データセンター建設に必要な変圧器やケーブル等の部品の納品待機時間は過去3年間で2倍に増加している。政府、テクノロジー業界、エネルギー業界における対話の強化の必要性も訴えた。
IEAは今後、AIの電力需要に関する世界のデータを収集し、エネルギー部門における最先端のAI活用状況を調査するエネルギー、AI、データセンターに関する観測機関を新設する予定。
【参照ページ】AI is set to drive surging electricity demand from data centres while offering the potential to transform how the energy sector works
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