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【国際】TICAD9、横浜宣言採択し閉幕。貿易保護主義に懸念。気候変動、AI、食糧対策強調

【国際】TICAD9、横浜宣言採択し閉幕。貿易保護主義に懸念。気候変動、AI、食糧対策強調 2

 日本政府は8月20日から22日、神奈川県横浜市で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を開催。最終日に「TICAD9横浜宣言」を発表した。今回の第9回には、アフリカから首脳級33人を含む49か国の代表が参加。国際機関、企業、国会議員、市民社会の代表等も出席した。

 TICADは、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催。日本政府としては、アフリカにおける政治的影響力を確保する狙いがある。1993年に第1回が行われ、前回第8回が2022年に開催されていた。

 8月20日の初日には、石破茂首相も出席し、アフリカに向けた施策を発表した。

  • アフリカのスタートアップと日本企業が共に産業を興す「日本アフリカ産業共創イニシアティブ」の推進
  • 「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」を最大55億米ドルまで拡充することによる機能強化
  • 国際協力機構(JICA)の海外投融資を触媒とした官民総額15億米ドル規模のインパクト投資
  • 今後3年間で30万人の人材育成の実施(特に「AI・データサイエンスの人材育成とアフリカの経済成長イニシアティブ」に基づくAI人材の育成の後押し)
  • 「アフリカ保健投資促進パッケージ」に基づくアフリカの保健分野への投資呼び込み
  • GAVIワクチンアライアンスへの今後5年間で最大5.5億米ドルの貢献等を通じたアフリカにおけるワクチン供給の下支え
  • アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の実施促進の後押しを通じたアフリカの地域統合の強化
  • 日・アフリカ間の経済連携強化に関する産学官の検討委員会の設置
  • アフリカとインド洋地域の貿易・投資の活性に資する「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」の発足
  • 「アフリカ地雷対策プラットフォーム」や女性・平和・安全保障(WPS)の推進などを通じたアフリカにおける平和、成長、安定の好循環の実現

 横浜宣言では、2025年と2026年のアフリカのGDP成長予測は、世界平均を上回っているものの、貧困に対処し、ディーセントワークに基づく雇用を創出し、債務を返済するにはいまだ不十分であると認識。アフリカ大陸は、成長のための重要な資源と手段を有しているものの、依然として外部からの衝撃に対して特に脆弱であり、社会経済的変革を加速させるためには、あらゆる分野でイノベーションを促進するための環境を整備し、特に民間資本を活用することが必要であるとした。    その上で、気候変動、エネルギー不足、AIを含む新たなデジタル技術、サイバーセキュリティ、防災、人間のウェルビーイング等の様々な地球規模の課題が絡み合う中、健康、教育、社会保障といった重要な分野における幅広い社会的欠陥に対応するため、人間の安全保障の概念に基づく協力を強化すると謳った。

 経済面では、アフリカ諸国の信用格付が低いことにより、資源開発資金が集まっていないことを危惧し、アフリカ信用格付機関(AfCRA)の設立を歓迎。グローバルサプライチェーンを構築するため、試験的経済区を設けることも奨励した。AI活用とAIガバナンスの強化の必要性も強調した。また、米国の名指しは避けつつも、貿易保護主義の高まりがアフリカの世界市場へのアクセスを制限し、アフリカ大陸に利益をもたらすグローバルバリューチェーンの割合を抑制しているとし、日本として懸念を示した。

 アフリカでの食糧や飢餓への対策では、現代的灌漑システム、耐乾性及び耐塩性作物品種、気候レジリエント研究等の気候スマート農業技術の拡大、アフリカ域内貿易の拡大と輸出競争力の強化のための農産物加工、付加価値向上及び品質基準への適合の支援等で協力を表明。さらに、高度な農業、砂漠の開墾及び早期警戒システムにおける農家、農業普及員及びアフリカの専門家のターゲットを絞った研修を通じた人的資本の強化の重要性も強調した。

 気候変動・エネルギー分野では、アフリカの豊富な太陽光、風力、水力発電の可能性を活用して、アフリカ単一電力市場(AfSEM)や大陸電力システムマスタープラン(CMP)のような統合電力網を構築する各国及び地域レベルでの再生可能エネルギー事業への投資の確保の重要性を強調した。また気候変動適応やロス&ダメージへの対策についても期待を示した。

【参照ページ】第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)閉会式 【画像】首相官邸

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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