
英金融規制当局のイングランド銀行健全性監督機構(PRA)は12月3日、2019年に制定した銀行及び保険会社向け気候関連リスクマネジメント要件を改訂した。取締役会レベルの監督強化、シナリオモデリングの厳格化、データ完全性の向上を指示し、要求レベルを引き上げた。
今回発出されたのは、銀行および保険会社による気候関連リスク管理の高度化を求める監督文書「Supervisory Statement 5/25(SS5/25)」。2019年に世界で初めて気候変動を健全性監督の正面課題に据えた「SS3/19」を全面的に置き換えるもので、過去6年間の監督実務、国際基準の進展、企業側の対応状況を踏まえ、気候リスク管理を「方針整備」から「経営判断に組み込まれた実践」へと引き上げる内容となっている。
PRAは冒頭で、気候変動がもたらす物理的リスクと移行リスクが、金融機関の財務健全性とオペレーショナル・レジリエンスに直接的な影響を及ぼし得ることを改めて強調。洪水や熱波といった自然災害の激甚化は、担保価値や保険金支払に影響し、カーボンニュートラル政策やイノベーションは資産価値の再評価や信用リスクの急変を引き起こすとした。さらに、気候関連訴訟リスクを独立した伝播経路として明確に位置づけ、銀行や保険会社が直面する法的・評判リスクが無視できない段階に入ったと認識した。
今回の監督文書では、気候関連リスクの「特性」に対する理解を踏まえた戦略的管理を要請した点が大きな特徴。気候関連リスクは、…
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