
金融情報世界大手米モーニングスターは7月30日、世界のサステナブルファンドへの資金流出入を分析した2026年第2四半期報告書を発表した。中国を除く世界全体では、推計37億米ドル(約5,800億円)の純流入となった。米国が14四半期ぶりに純流入へ転じた一方、日本、カナダ、オーストラリア・ニュージーランド、台湾等では資金流出が続き、地域毎に差が生じた。
同報告書のサステナブルファンドは、目論見書や規制当局への提出書類で、サステナビリティ、インパクト、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因への注力を掲げるオープンエンド型投資信託と上場投資信託(ETF)が対象。中国はデータ公表が1四半期遅れるため、2026年第2四半期の資金流出入には含まれていない。またオーストラリアとニュージーランドは5月末までのデータを使用している。
欧州のサステナブルファンドは35億米ドル(約5,500億円)の純流入を記録したが、第1四半期の82億米ドル(約1.3兆円)から減速。運用手法別では、パッシブ運用型が114億米ドル(約1.8兆円)の純流入だった一方、アクティブ運用型は78億米ドル(約1.2兆円)の純流出となった。アセットクラス別では、債券ファンドが144億米ドル(約2.3兆円)の純流入を集めた一方、株式ファンドは93億米ドル(約1.5兆円)の純流出となった。地政学的不確実性を背景に投資家のリスク選好が低下し、債券への需要が高まったと分析した。
(出所)Morningstar
米国では、サステナブルファンドが約30億米ドル(約4,700億円)の純流入となり、14四半期連続の純流出から反転した。パッシブ運用型への65億米ドル(約1兆円)の純流入が回復を主導し、アクティブ運用型は36億米ドル(約5,700億円)の純流出だった。株式と債券はいずれも約15億米ドルの純流入となった。
(出所)Morningstar
米国で最も多く資金を集めたのは、スマートグリッド関連企業に投資する「First Trust Nasdaq Clean Edge Smart Grid Infrastructure」で、第2四半期の純流入額は31億米ドル(約4,900億円)。AIやデータセンターの電力需要増加を支えるエネルギー移行インフラへの投資家の関心が資金流入を後押しした。米国のサステナブルファンド運用資産総額は6月末時点で約3,980億米ドル(約63兆円)となり、過去最高を更新した。
(出所)Morningstar
一方、日本のサステナブルファンドは2億3,500万米ドル(約360億円)の純流出となり、16四半期連続の資金流出を記録した。日本の投資信託市場全体には同期間中に350億米ドルの資金が流入しており、サステナブルファンドとの明確な差が生じた。特にアクティブ運用型の資金流出が続き、17四半期連続の純流出となった。第2四半期の流出額は3億1,900万米ドル。パッシブ運用型には資金が流入したものの、流入額は第1四半期の約半分に減少し、アクティブ運用型からの流出を補えなかった。
(出所)Morningstar
日本籍サステナブルファンドの運用資産総額は、株式市場の上昇を受け、前四半期比13%増の225億米ドル(約3.6兆円)となった。同期間中の日本株式市場は14.5%上昇しており、資産増加の主因は資金流入ではなく市場価格の上昇だった。日本では2025年第1四半期以降、新たなサステナブルファンドは設定されていない。
その他の地域では、カナダが4億8,100万米ドル(約760億円)、オーストラリアとニュージーランドが5月末までに約1億2,000万米ドル(約190億円)の純流出となった。日本を除くアジアでは、中国の第2四半期データを除き、19億米ドル(約3,000億円)の純流出を記録。台湾が16億米ドル(約2,500億円)、韓国が4億5,600万米ドル(約720億円)の純流出となった。台湾では、域内最大のサステナブルファンド「Cathay Sustainability High Dividend ETF」から13億米ドル(約2,100億円)が流出した。
(出所)Morningstar
世界のサステナブルファンド運用資産総額は、第1四半期末の3兆5,000億米ドル(約553兆円)から3兆7,300億米ドル(約589兆円)へ増加した。増加額2,300億米ドル(約36兆円)が純流入額37億米ドル(約5,800億円)を大幅に上回ったことから、資産拡大は主に市場価格の上昇によるものと分析した。
(出所)Morningstar
新規商品開発も低調で、第2四半期に新設されたサステナブルファンドは世界で32本。日本を除くアジアが16本、欧州が13本、米国が3本だった。日本を除くアジアの16本は全て中国で設定された。日本、オーストラリア、ニュージーランドでは新規設定がなかった。
欧州では新設が13本に留まる一方、64本が閉鎖。モーニングスターは、2020年から2022年までの急速な商品開発後の正常化に加え、グリーンウォッシュへの批判や規制の不確実性を背景に、運用会社が新たなESG・サステナブル投資戦略の開発に慎重になっていると分析。2026年初頭は、新商品設定より既存の商品群の統合や合理化が重視されているとした。
【参照ページ】Global Sustainable Fund Flows: Q2 2026 in Review
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