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【アメリカ】カリフォルニア州、低炭素燃料基準LCFS厳格化へ。輸送機器GHG削減

 カリフォルニア州大気資源局(CARB)は11月8日、自動車や航空機等に適用される低炭素燃料基準(LCFS)の改正を承認。温室効果ガス排出の基準をさらに厳格化することを決めた。ルールの最終化は、2025年1月までに完了する見通しで、順調にいけば2025年4月1日に施行される。

 LCFSは2009年に制定され、2011年に施行。その後、数度の改正を経て、現行基準では、輸送用燃料の温室効果ガス排出基準(CI基準)として、2030年までに温室効果ガス排出量を2010年比20%減としている。対象の燃料はガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、液化天然ガス(LNG)、化石燃料由来の圧縮天然ガス(CNG)、バイオ燃料等。排出量算定は、ライフサイクル全体で計算され、バイオ燃料に関しては土地利用変化等も考慮される。パーム油由来燃料は、LCFSクレジットの発行の対象外。

 毎年の基準値は、目標年までに段階的に引き上げられ、基準を満たさなかった場合には、不足分と同量のLCFSクレジットの購入が義務付けられている。反対に基準を下回った場合には、LCFSクレジットを売却できる。LCFSクレジットの売却では、テスラが大きな収益を得てきたことが知られている。LCFSクレジットの取引は、年間で40億米ドル(約5,800億円)にも達している。

 今回の改正では、目標値を2030年までに30%削減、2045年までに90%削減に設定。現行基準から大幅に引き上げる考え。また、中・大型車両向けの電気自動車(EV)充電スタンドや、水素補給ステーション等のゼロエミッションインフラへの支援も強化。さらに、LCFSクレジットを発行できる交通機関の対象も拡大された。燃焼燃料として使用されるバイオメタンに関連する回避メタンでのLCFSクレジット発行は段階的廃止する。但し、同州の2022年スコープ計画の目標に沿うよう、再生可能水素へのバイオメタンの使用は延長する。

 今回の改正により、基準の達成が困難となる燃料が増えることから、LCFSクレジットの市場取引価格は上昇する模様。改正案では、2028年から「自動調整メカニズム」が導入され、基準達成が増え、LCFSクレジット供給量が一定の閾値に達した場合、CI基準を自動的に厳格化するルールが盛り込まれている。

 EV充電に関しては、これまで充電データは第三者検証の要件から免除されてきたが、2026年に使用された電力から、燃料としての電力利用(EV充電、e-フォークリフト、eTRU(e輸送用冷凍ユニット)等)によるLCFSクレジットに関しては検証の対象となる。

 今回のルール改正に対し、テスラのイーロン・マスクCEOは支持を表明しているが、一方で、カリフォルニア州が独自に導入する予定のゼロ・エミッション車(ZEV)減税補助金に対しては、双方での対立が始まっている。

 同州のニューサム知事は11月25日、次期トランプ政権が連邦政府のクリーンカー減税を廃止した場合、2023年に段階的に廃止された同州のクリーン車両リベートプログラム(CVRP)の後続版を復活させる政策を発表。但し、市場シェアに基づく制限が設けられ、テスラのEV車種の人気モデルは除外される見通しになるという。

 同州知事室は、市場シェアでの適用制限に関し「より多くの自動車メーカーが根ざせるような市場の環境を整えることが目的」と説明しているが、実際には次期トランプ政権の中核人材であるマスク氏をバッシングする意味合いがあると目されている。テスラの同州内での新車販売台数シェアは、2024年第3四半期時点で56%。

【参考】【アメリカ】財務省、最大約100万円のクリーンカー減税の最終要件発表。北米組立必須(2023年4月1日)

【参照ページ】CARB updates the Low Carbon Fuel Standard to increase access to cleaner fuels and zero-emission transportation options 【参照ページ】As California achieves historic milestone, Governor Newsom commits to restarting state’s ZEV rebate program if federal tax credit is eliminated

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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