経済産業省資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は12月17日、第7次エネルギー基本計画の原案を示した。
同原案では、2040年度の最終エネルギー消費量を、2023年度の3.0億kLから、2.6億kLから2.8億kLと推定。そのうち電力需要は、2040年度には9,000億kWhから1.1兆kWhと見立てた。さらに、エネルギー自給率も2023年度の15.2%から、2040年度には30%から40%程度に引き上げることを想定。その結果、確保する発電電力量は、2023年度の9,854億kWhから、2040年度には1.1kWhから1.2kWhとした。
電源構成は、火力発電が3割から4割、原子力発電が2割、再生可能エネルギー(水力発電含む)が4割から5割とした。「但し、数値は暫定値であり、今後変動し得る」としている。
(出所)資源エネルギー庁
電源別の発電コスト(LCOE)の試算では、2040年度には、安い順に、太陽光発電、原子力発電、中水力発電、着床式洋上風力発電、陸上風力発電、地熱発電、ガス火力発電、石炭火力発電、アンモニア発電、水素発電とした。火力発電については、燃料費と二酸化炭素排出量対策費が大きくつまれた結果、コスト見立てが大きくなった。
(出所)資源エネルギー庁
電源別の発電コストに系統等のコストを加えた統合コストでは、変動再生可能エネルギー比率が高まるほど、送電網や蓄電のコストが積まれるため、全体としての統合コストは上がるとした。それでも原子力発電は比較的低コストと見立てられた。但し、原子力発電の発電コストは、廃炉措置費用、事故廃炉・賠償費用等、再処理費用及びMOX燃料加工費用、さらに高レベル放射性廃棄の地層処理処分費用が想定より上がれば、大幅にコストが積まれることになる。
(出所)資源エネルギー庁
再生可能エネルギーの発電量では、国産再⽣可能エネルギーの普及拡⼤を図り、技術⾃給率の向上を図るとした。特に、ペロブスカイト太陽電池(2040年までに20GWの導⼊⽬標)や、排他的経済水域(EEZ)等での浮体式洋上⾵⼒発電、国の掘削調査やワンストップでの許認可フォローアップによる地熱発電(2030年までに1.5GWの導入目標)の導⼊拡⼤、次世代地熱発電の事業化が柱とされている。
また、使⽤済太陽光パネルの廃棄について、循環型社会形成推進基本法に基づき、発⽣抑制(リデュース)、再使⽤(リユース)、再⽣利⽤(リサイクル)、④熱回収、埋⽴処分の優先順に沿った対応が必要としている。但し、発電事業者とメーカーのどちらが費用を負担するかは今後の検討となっている。
原子力発電については、積極姿勢に転じる。再稼働では、安全性の確保を⼤前提にしつつ、官⺠を挙げて加速。次世代⾰新炉(⾰新軽⽔炉・⼩型軽⽔炉・⾼速炉・⾼温ガス炉・核融合)の開発・設置については、地域の産業や雇⽤の維持・発展に寄与し、地域の理解が得られるものに限り、廃炉を決定した原⼦⼒発電所を有する事業者の原⼦⼒発電所のサイト内での次世代⾰新炉への建替えを解禁する。
火力発電については、国際的には先進国は2040年までにカーボンニュートラル化が叫ばれる中、3割から4割も残す形となる。原案では、中継ぎとしてガス⽕⼒発電の確保しつつ、⽔素・アンモニア、CCUS等を活⽤した⽕⼒のカーボンニュートラル化を進めるとし、予備電源制度等の措置について不断の検討を⾏うとした。但し、発電コストの試算では、火力発電は大幅に高コストの電源となっていく。
【参照ページ】総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第67回会合)
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