
中国スタートアップDeepSeek(深度求索)は1月20日、大規模言語モデル「DeepSeek-R1」をリリースした。同モデルが米国でリリースされた1月28日には、米半導体大手NVIDIAの株価が急落する等、株式市場でも大きな影響が出た。その後、西側諸国では同モデルの使用を制限する動きが相次いでいる。
イタリア情報保護局は1月30日、イタリアのユーザーデータ保護を目的に、DeepSeekによるイタリア国内での個人情報の処理を制限し、EU一般データ保護規則(GDPR)に基づく調査に乗り出したことを公表した。同局は、DeepSeek側からの報告内容が全く不十分な内容だっと説明。同局によると、同社はイタリアで事業を行っておらず、EU法が適用されないと回答しているという。
また、フランスのデータ保護機関(CNEL)も同日、同社に対し、質問書を送付すると表明している。
オーストラリアでは、エド・ヒュージック科学相が1月28日、DeepSeekに対するプライバシー懸念を表明した。
台湾のデジタル発展部も1月31日、中国政府へのデータ流出の懸念から、政府機関と重要インフラ機関のDeepSeek使用を禁止すると発表。政府からの委託先企業についても同様に禁止される。行政院が2019年に発出した「各機関による国家の情報通信安全を脅かす製品の使用制限に関する原則」に基づく措置。
米国では1月27日、トランプ大統領がDeepSeekを「警鐘」と表現。すでに国家安全保障会議(NSC)が、DeepSeekリリースに伴う潜在的な国家安全保障影響の調査に乗り出している。連邦議会議員からも懸念の表明が相次いでいる。
米国のバイデン前政権は2022年、NVIDIAの最高性能AI半導体「H100」の対中輸出を実質禁止。2023年には規制対応班として開発された「H800」も対中輸出禁止の対象となった。現在、さらに性能劣化版の「H20」が対中輸出製品となっているが、トランプ政権は「H20」の輸出禁止も検討している模様。
DeepSeekは、NVIDIAの半導体を2,000個のみ使用してDeepSeek-R1が稼働していると説明。規制に基づけばH800もしくはH20を使用していることになるが、米Scale AIのアレクサンダー・ワンCEOは、H100を5万個使用しているとの見方を表明。イーロン・マスク氏もDeepSeek側の説明に懐疑的な見方を披露している。実際にDeepSeekがどの性能の半導体を使用しているかは現在はっきりとはしていない。H100を迂回入手しているという情報もあり、米大統領府と米連邦捜査局(FBI)が調査を開始している。OpenAIのサム・アルトマンCEOは、DeepSeekに脅威を感じ、メタ・プラットフォームズと同様の「オープンソース戦略」に転換する必要性を話し始めている。
またサイバーセキュリティ世界大手米アーミスによると、すでにアーミスの顧客の約70%がDeepSeekの接続遮断を求めており、同社のクラウドサービス「Netskope」顧客の52%もすでにDeepSeekへの接続を完全遮断しているという。
日本では、サイバーエージェントが1月27日、「DeepSeek-R1」の蒸留モデルに日本語データによる追加学習を行ったLLM「DeepSeek-R1-Distill-Qwen-14B/32B-Japanese」を公開。他にも同様の動きが広がるとみられる。日本政府はまだ、DeepSeekに対する考え方を明らかにしていない。
【参照ページ】COMUNICATO STAMPA - Intelligenza artificiale: il Garante privacy blocca DeepSeek
【参照ページ】公務機關不得使用 Deepseek AI 服務以防範資安風險
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