
世界経済フォーラム(WEF)は2月24日、希少疾患分野のデータシステムへの投資がもたらすインパクトに関してまとめた報告書を発表した。
世界には3億人以上の希少疾患患者が存在しており、その約95%の疾患で規制機関に承認された治療法が確立されていない。これにより、患者本人だけでなく、家族や介護者など10億人以上の人々に重い負担を強いている。同報告書は、希少疾患への投資が生活を向上させ、経済を強化し、科学を進歩させる数兆米ドル(数百兆円)規模の機会になると分析した。
同報告書では、希少疾患分野のデータシステムへの投資がもたらすインパクトを3つの次元で強調。1つ目は「人間の健康」で、3億人以上の生活の質(QOL)と治療の成果を直接的に向上させる。2つ目は「社会・経済的レジリエンス」で、医療費の削減と経済の生産性の強化を通じ、家族を含む10億人以上の幅広いステークホルダーに恩恵をもたらす。3つ目は「科学及び医学的進歩」で、希少疾患分野で培われた知見や技術が、一般的な疾患にも波及し、医療システム全体のイノベーションを牽引するとしている。
さらに、世界中の希少疾患データシステムを強化するための5つの実践的なロードマップが提示された。国際基準との整合性を確保しつつ、地域の実情に合わせてロードマップを調整できるかが成功の鍵だとした。
- データ収集プロセスを標準化し希少疾患に関する世界の知識ベースを拡大するために、国境を越えた最小限のデータセットの定義と追跡
- データの質や有用性を高めるための、データ収集における患者の参画の強化
- 早期発見や有病率把握のための、新生児スクリーニングと診断能力の向上
- プライバシー保護と基準・ガバナンスの整合性を担保した、医療システム間での信頼できるデータ共有
- 散在する情報を構造化し、データから実行可能な洞察を得るためのAI及びデジタルツールの活用
2021年の国連決議や2025年の世界保健機関(WHO)総会を含む政策行動は、希少疾患を世界の主要な保健アジェンダとして明確に位置づけている。WEFは、個々の疾患は希少であっても全体として見れば一般的な課題であるとし、政府、民間企業、慈善団体等の多様なステークホルダーに対し、データを基盤とした希少疾患への投資を加速させるべきだと呼びかけた。
【参照ページ】Making Rare Diseases Count: How Better Data Can Unlock a Multitrillion-Dollar Opportunity
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