英小売大手テスコは、現在5ペンス(約7円)で販売している薄手の使い捨てビニール袋の販売を、アバディーン、ダンディ、ノーウィッチの3店舗で10週間中止し、再利用できるレジ袋のみを販売する試みを開始する。英紙ガーディアンが報じた。
同社は、この試みが成功すれば、使い捨てビニール袋の販売廃止も視野に入れている。実現に至れば同国初となる。イングランドでは2015年10月に大規模小売業者にビニール袋の有料化を規定。テスコでは現在薄手のレジ袋を5ペンスで販売している。今回の取組では、手持ちの袋を持参し忘れた顧客は、10ペンス以上を予定している再利用可能な袋のみが購入できるようにする。現時点でも、57%の顧客は袋なしを選択しているという。
この背景には、世界中の海洋に毎年約800万トンのプラスチックが廃棄され、環境に深刻な脅威を及ぼしているという実態が挙げられる。専門家は、プラスチックが海洋哺乳類31種と海鳥100種以上により食べられていると推定。イングランドに先駆けて、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドでは、レジ袋の有料化が実施され、ウェールズでは導入後の3年間にレジ袋の使用量が79%削減されるという目覚ましい効果を挙げている。
イングランドのレジ袋有料化規制は、250人以上のフルタイム従業員を雇用する大規模小売業者が対象となっている。空港や列車内、航空機内、船舶内の店舗は規制の対象外。また、包装されていない食品、生肉や鮮魚等、安全面でのリスクが伴う品目や処方箋による薬品等も例外としてレジ袋の無料提供が認められている。レジ袋ではなく紙袋で提供する場合には無料でもよい。
環境・食糧・農村地域省は、規制の効果を2015年10月5日から2016年4月6日まで調査。「アスダ、マークス&スペンサー、セインズベリー、テスコ、生協グループ、ウェイトローズ、WMモリソンの主要小売7社のレジ袋提供量は、2014年の年間76億個から調査期間の半年間は6億枚に大幅減少」「データを報告した大手小売業者285社が販売した使い捨てレジ袋は11億個」などが判明した。
規制対象の小売業者は、レジ袋販売による収益の使途を自由に選択できるが、使途の報告が義務づけられている。政府は慈善団体への寄付を推奨しており、有料化導入後の10年間で最大で7億3,000万ポンド(約1,037億円)の寄付金が生まれると予測していた。しかし、実際の寄付金は、約3,000万ポンド(約41億円)に留まっていた。一方、ゴミ収集にかかる公共費用が6,000万ポンド(約85億円)節約でき、さらに1,300万ポンド(約18億円)分の二酸化炭素が削減できるという効果も見積もっている。
【参考ページ】Tesco to trial a phase-out of single-use 5p plastic bags
【参照ページ】Policy paper Carrier bags: why there’s a change
【参照ページ】Research and analysis Single-use plastic carrier bags charge: data in England for 2015 to 2016
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