参議院本会議は11月30日、領海内の海域に洋上風力発電「促進区域」を定める「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)案」を全会一致で可決。衆議院も11月22日に可決しており、成立した。洋上風力発電のための全国一律のルールを整備した。政府による洋上風力区域指定は、欧州では普及している手法。
同法では、国が洋上風力発電に適した「促進区域」を指定できる。促進区域に指定されると、従来では所管の地方自治体ごとに3年から5年とばらつきがあった事業者の海域占有期間を最長30年間まで延長できる。事業者は公募で選ぶ。これにより、長期の洋上風力発電を行う権利が確保されることから、洋上風力発電への投資が加速されることが期待される。
また、洋上風力等の区域占有では、地元の漁業者や海運会社との利害調整が必要となることも多い。そのため同法は、経済産業相、国土交通相、関係都道府県知事が、区域指定や事業実施に関する協議を行う「協議会」を設立することを認め、関係者は協議会の決定を尊重することを義務化した。協議会が設置されない場合は、都道府県知事は経済産業相や国土交通相に対し協議会設立を要請でき、各大臣は要請に応じなければならないとした。
政府は、2030年度までに促進区域を全国に5カ所程度指定する考え。これにより、全国の風力発電設備容量を2017年度の約3.5GWから、2030年度には約10GWに拡大する思惑がある。
洋上風力タービン分野では、独シーメンスとデンマークのMHIヴェスタスが2強。MHIヴェスタスは、デンマークのヴェスタスと三菱重工業の折半合弁会社。MHIヴェスタスは、日本海側での洋上風力参入に動き出しているという。
【法案】海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案
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