欧州委員会は7月24日、次世代通信規格「5G」の通信インフラ整備に関する進捗レポートを発表した。欧州委員会は1月に5G導入検討での指針を発表し、6月30日までに各加盟国に対し指針に基づく実施報告書の提出を義務化していた。
【参考】【EU】欧州委、5G通信規格で加盟国向け指針発表。1社依存や高リスク事業者への依存低減を要請(2020年2月4日)
同レポートは、EU理事会が、欧州委員会と欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)の協力を得て発行するという形をとった。5Gネットワークを巡っては、幅広い社会インフラが5Gネットワークに移行するため、セキュリティ面での懸念が大きくなっている。特に、世界大手の中国ファーウェイ(華為技術)の扱いについては、EU加盟国の間で意見が必ずしも一致していない。しかし、欧州委員会はEUとしての一貫した対応が必要となると考え、足並みを揃える調整を行っている。
今回のレポートは、1月に発表された指針の中でも重視した国家安全保障の観点を再度協調。過半数の加盟国では、安全保障当局が5G検討に加わるようになり、すでにいくつかの国では安全保障リスクのあるメーカー製の採用を制限する枠組みもできたことを示した。さらに欧州委員会は、加盟国に対し、安全保障の観点を十分に盛り込んだ5G整備検討を要求した。実質的な、中国製の排除に繋がる政策となっている。
英国では、デジタル・文化・メディア・スポーツ省と国家サイバーセキュリティ・センターが7月17日、2020年12月31日以降にファーウェイ製の5G設備を新規購入することを禁止するとともに、既存の設備についても2027年末までに5Gネットワークから排除することも決めた。EU離脱後の英国政府は、IT産業を新たな経済の柱の据えようとしており、世界一安全なインターネット環境を構築することを政策目標の一つとしている。
5Gネットワークでは、フィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソン、中国ファーウェイが3強。さらに韓国のサムスン電子、中国ZTEが後を追う形。EU関係者からは、ノキアとエリクソンのみでEU域内の5Gネットワークを整備することに自信を持つ声も出てきている。
【参照ページ】5G security: Member States report on progress on implementing the EU toolbox and strengthening safety measures
【参照ページ】Huawei to be removed from UK 5G networks by 2027
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