デンマーク職域年金基金アカデミカーペンションは6月13日、トヨタ自動車の気候変動関連ロビー活動に深刻な懸念を表明。各国政府が、内燃機関自動車から、電気自動車(EV)へ段階的に転換していく動きを妨害しているようにみえると批判した。同年金基金の運用資産総額は190億米ドル(約2.6兆円)。
同年金基金は、同事案でトヨタ自動車への集中エンゲージメントを2021年3月に開始。ロビー活動方針の転換を要求した。その後、トヨタ自動車がロビー活動を自主的に見直すことを約束したため、2021年の株主総会に向けた気候変動株主提案を取り下げていた。
しかし、同社が2021年12月に公表した「気候公共政策に対するトヨタの見解2021」の内容が、Climate Action 100+(CA100+)が求める投資家の気体水準を大幅に下回っていると判断。2022年の株主総会に向けて株主提案を提出したが、トヨタ自動車が「提出期限に1日遅れた」という理由で却下したという。そこで今回の批判声明へと至った。
今回同社は、株主提案のかわりに、株主総会向けに質問という形で要求を伝える。内容は、
- トヨタ自動車の対外声明、直接的・間接的なロビー活動は、世界の気温上昇を産業革命前より2⁰C以下に抑え、1.5⁰Cにできる限り近づけるというパリ協定の目標とどのように整合するか?
- トヨタ自動車の経営陣は、2023年の株主総会までに、気候関連の公共政策に関する会社の公式声明やロビー活動に関する現在のレピュテーションリスクを大幅に低減するための効果的な措置をとることができるか?
- トヨタ自動車の経営陣は、パリ協定の目標に沿ったスケジュールで、交通機関の完全電化に向けた移行を阻害するような公的発言や政府への働きかけを行わないことを約束できるか?
英紙フィナンシャル・タイムズによると、アカデミカーペンションと同様の要求は、スウェーデン年金基金AP7や英国国教会からも出ているという。
自動車業界の気候ロビー活動に関しては、英気候変動シンクタンクInfluenceMapは5月、分析レポートを発表。トヨタ自動車は分析対象企業の中で、最低のスコアを獲得していた。
また、市民署名活動SumOfUsでは、トヨタ自動車に対しロビー活動を転換するよう求める署名活動が行われている。
【参照ページ】AkademikerPension: Toyota modarbejder den nødvendige grønne omstilling
【参照ページ】The Automotive Sector and Climate Change
【参照ページ】Toyota is fueling the climate crisis
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